なぜ好立地に好条件で出店できたのか
急成長の2つ目の要因は、「コロナ」によるものだ。
バーガーキングは、23年11月に都立大学駅前店をオープンしている。
ここは、サンマルクカフェの跡地だ。サンマルクカフェはコロナ以降店舗数が急減している。20年3月期に405店あった店舗は、23年3月期には333店に。さらに70店以上の閉店を予定している。カフェだけではない。居酒屋・ファミレスなどでも閉店が相次ぎ、好立地が空いて、出店しやすくなった。
コロナ禍の影響で、出店条件も有利となった。バーガーキングが積極的に出店した20~21年上期について、日本不動産研究所は、「総じて空室が多くテナント側が有利な状況にあることから、今後の賃料水準がダウンすることが懸念される(店舗賃料トレンド2021春)」と評している。
好立地に好条件で出店できるようになったため、出店ペースが早まった。これがもうひとつの急成長要因だ。
つまり、バーガーキング急成長の要因は、コロナ禍で撤退店舗が増え、出店しやすくなったという外部要因。そして、話題になるプロモーションを打ち、認知度を高めたという内部要因である。いわば「運」で店舗を増やし、「努力」で売上を増やした。この2つの要因があったからこそ、急成長できたのではないだろうか。
店舗当たりの月商はモスバーガーを上回る
ここから、現状と今後の課題について考察する。
上位2社(マクドナルド、モスバーガー)との差はどれくらい詰まったのか。
現在のバーガーキングの売上は200億円。対して、マクドナルドは7000億円、モスバーガーは1189億円。差はまだまだ大きい。
一店舗当たり月商(1カ月の売上)で比較すると、バーガーキングは840万円弱。対して、マクドナルドは2000万円。差は圧倒的だ。「私たちの勝チ」とは、とても言えない。一方、モスバーガーの767万円を超えたことは、今後に期待を抱かせる。
※バーガーキング=当期見込より算出、マクドナルド・モスバーガー=22年度実績
しかし、資金面には、やや不安がある。
流動資産(現預金など)が減り、流動負債(近々に返す借金など)が増えた。結果、短期安全性の指標「流動比率(※)」は40.9%という低い値に。業界にもよるが、一般的には100%を切ると、危険水域だ。大量出店のための手持ち資金不足を、借入で賄ったものと思われる。急成長の負の側面が出てきたわけだ。一言でいえば「カネがない」。よって、今後の出店は「フランチャイズ」に依存することになる。
※464百万円(現金預金・売掛金など=流動資産)÷1136百万円(仕入の買掛金や1年以内に返さなければならない借入など=流動負債)。値が小さいほど短期安全性が低い。(ビーケージャパンホールディングス 2022年12月31日 第6期決算公告より算出)