ブランド価値で高いポジションをとることが目的ではない

ブランドの強さという議論があります。商品を通じたブランドという意味で言ったら、そのときに多くの人に使われている商品で、しかも単独の商品でそれが達成できているところが一番強いんです。スマホは典型例で、二大ブランドがありますね。

ただ、こういう形だけがブランドではないと私は思っているんです。もっといえば、ブランド価値評価で高いポジションをとることが目的ではない。

上阪徹『ブランディングという力 パナソニックはなぜ認知度をV字回復できたのか』(プレジデント社)

そうではなくて、私たちの企業として、あるいはグループとして進めている活動にとって、価値ある形でブランド認知をしていただくことを優先すればいいと思っています。

一方で、生活が多様化しているわけですから、商品を通じて認知してもらう地域があってもいい。ヨーロッパだったら、ヒートポンプ式温水暖房機がいい、とか。アメリカなら、車載電池がいい、とか、パソコンのタフブックがいい、とか。

それぞれで、違っていいんですよ。ブランドランキングの上位になるというよりも、それぞれのステークホルダーに、いかに「パナソニックだったら大丈夫」と思ってもらえるか、です。

コングロマリットですから難しいんですが、やっぱり最後は一人ひとりの行動に尽きるんです。

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