告示に「置き配」という用語を入れるように要請した

事務局である資源エネルギー庁省エネルギー課からは、再配達を削減するための新たな仕組みとして、例えば、1回目の配達で受け取った場合のポイント付与や再配達の料金化が提案されていた。いずれの例示も貨物輸送事業者の義務として議論されるべき問題であって、荷主判断基準として荷主に目標として課すことは適当ではなかった。かと言って全部削除する訳にはいかず、どうしようかと思案していたところ、一部の地域で置き配の実証実験を始めたいという社内の声に接したので、省エネ法が後押しになればと思い、荷主判断基準の再配達を削減する新たな仕組みの例として「置き配」という言葉を入れるように要請した。

告示とは言え、「置き配」という用語が法令に規定されたのはこれが初めてのことではないかと思う。こういう訳で、物流政策上の観点からも省エネルギー政策上の観点からも、再配達の削減、そしてその方策としての置き配をポジティブに受け止め得る環境ができつつあった訳である。

置き配が実現すれば、アマゾンのお客様の利便性を高めることができるのは間違いなく、ロビイングの仕事の中でもこれほどお客様に近い視点で仕事ができるのは貴重なことであった。

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アマゾンのリーダーシップ・プリンシプル

アマゾンのリーダーシップ・プリンシプルの最初に出て来るのが、「Customer Obsession」という原則であり、その意味としては「リーダーはまずお客様を起点に考え、お客様のニーズに基づき行動します。お客様から信頼を得て、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります」と解説されている。

アマゾンの社内では、競合他社がこういうことをしているから、我々はこうしようという議論はない。常にお客様視点で思考、行動することが徹底される。そして、リーダーシップ・プリンシプルの中で「Customer Obsession」と対になっているのが、「Deliver Results」である。その意味は、「リーダーはビジネス上の重要なインプットにフォーカスし、適正な品質でタイムリーにやり遂げます。どのようなハードルに直面しても、立ち向かい、決して妥協しません」とされている。リーダーシップ・プリンシプルの中には16の原則があるが、このうち、「Customer Obsession」と対になっている「Deliver Results」の二つの原則がその中核にある。