いきなりのアンケート記入は気が引けるが…

【完全に引いているお客様への突破口を見出す】

×ありがちなフレーズ

アンケートにご記入ください

○心が動くフレーズ

“お客様”と呼びたくないので、お名前だけ教えていただけますか?

お客様が自ら要望をどんどん話してくれれば、接客はとてもラクです。しかし、そんなお客様はほとんどいません。ときには何を言っても無視するお客様もいます。そんなときの突破口の見つけ方についてお伝えします。

以前、健康器具の専門店に行ったときのことです。私はパソコンを使っての仕事が多いこともあり、常々「血流をよくしたいなぁ」と考えており、前から興味はありました。ただ、国道沿いにある単独店舗だったので入りにくく、「入ったらマンツーマンで店員につかれるのでは」と警戒していました。

案の定、店舗に入ると、すぐに若いスタッフが出てきます。そのスタッフは元気に挨拶をして、丁寧に名刺を差し出してきました。そして、名刺を受け取ると、すぐに「こちらのアンケートにご記入ください」と言ってきます。過去に私がやっていた住宅営業と同じようにマニュアル化されているのでしょう。しかし、いきなりのアンケートには、誰しもプレッシャーを感じるものです。

写真=iStock.com/kazuma seki
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「お名前だけ教えていただけますか?」

そこで、そのスタッフに対し“迷惑ですよ”という雰囲気を出しながら、「アンケートの前に、ちょっとお店の中を見ていいですか?」と伝えました。そう言うと、スタッフはスッと離れていきました。数分、商品を見ていると、先ほどのスタッフが「お客様、ここにないデザインのものもありますから」などと再び声をかけてきます。

そして、しばらくやりとりをしたところで、「“お客様”と呼びたくないので、お名前だけ教えていただけますか?」と言ってきたのです。私は、名前くらいは教えてもいいと思い、「菊原と言います」とお伝えしました。

それからはポイントとなるところで「菊原さんはどう思いますか?」と聞いてきたり、「これは菊原さんのニーズに合っていますよ」と言ってきたりします。不思議なもので、名前を呼ばれるたびに、少しずつ距離が縮まった気になります。気づけば自らアンケートに記入し、購入を決めていました。名前を呼ばれる効果をお客様として実感したのです。