仕事を辞めることによる良い点と悪い点

そこで私たちは、仕事を辞めるよい点と悪い点に目を向けることにした。

そして、ジャマールの「こうなったらどうしよう?」という恐れを、最後までたどってみた――。

問い:「仕事を辞めて、それが最悪の決断だったらどうしよう?」

答え:「最悪の決断だったら、少なくとも自分でわかるはずだから、別の仕事に応募する。次の仕事がない状態で辞めても貯金がある。場合によっては、前の仕事にもう一度応募するのも悪くない」

その後、驚くなかれ、ジャマールは別の仕事を求めて、本当に会社を辞めた。

そして……。

……しまった! と思った。辞めた仕事が恋しくなったのだ。というのも、対立していた上司も同時に辞めたからだ。「仕事を辞めて、それが最悪の決断だったらどうしよう?」という一番の恐れが現実になってしまった。それでも、すでに計画は立ててあったから、うまくいくかどうかはわからなかったが、ジャマールは辞めた会社に連絡を取り、「空いている仕事はありませんか?」と尋ねた。そして半年が経った頃、前職に復帰した。やりたいこと、やりたくないことをしっかり把握した上で。

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うまくいかない道を選んだって構わない

「信じられない! 辞めなきゃよかったじゃないの」と思っているとしたら、それには賛同できない。もちろん、思いきって飛び出して、何もかもうまくいった人たちの事例も紹介できる。そういう結果が得られるのも、たいていは人生でいちかばちかのチャンスに賭けたときだ。とはいえ、そんな事例を紹介しても、人生がくれる何より重要な教訓を得ることはできない。

ほとんどの人が「決断するのはとてつもなく難しい」と感じるのは、完璧な選択をしなくてはならない、と思うからだ。みんな、チャンスは一度きりだと考えている。

でも現実には、最終決定なんてほとんどないし、新しいことに挑戦するたびに、得るものはたくさんある。その瞬間に正しいと感じる決断ならできるから、とりあえずやってみて、うまくいかなかったら、別のことに挑戦しても構わないし、元いた場所に戻れないか確認することだってできる。人生とは学びのプロセスだ。よい決断をしようとして、今しっくりくる判断をしたところ、長い目で見たら必要のない決断だった、なんてこともあるけれど……それはごく当たり前のことで、失敗の証拠ではない。

もちろん、仕事を辞めたり、誰かと別れたり、新しい街に引っ越したりしたあとに、以前の状態に戻れる保証はないから、軽々しく決断すべきではないだろう。それでも、よりよい決断を下すために、理解しておく必要がある。その時点で最善の情報をもとに選択しても、うまくいかないことはある。そして、それでも構わないのだ、と。どんなときも、ほかにできることはあるから。