いじめの原因
しかし、球速は時速152キロが最高。高校時の数字には及んでいない。
同期で、自分と同じドラフトで1位入団した岡本和真(智辯学院高→巨人)が絶対的な中軸打者となり、髙橋光成(前橋育英高→西武)がエースとなっている。
高校野球でのいじめやパワハラは部活での結果と大いに関連があると私は考える。いじめやパワハラをするのは「後輩にポジションを奪われた先輩選手」や「ベンチ入りできなかった上級生」が多いのだ。
安樂はプロ野球選手だが、恩師から受け継いだ昭和野球を貫こうにも、現代野球の中で思ったような結果が出ない。その間に、高校野球は安樂のような投手を出さないために不十分ながらも球数制限を導入した。
高校野球は大きく変わりつつある。安樂は時代から取り残されたかのように思い、ストレスを感じていたのではないか。
明日から安樂選手がすべきこと
安樂の行為を傍観していた選手もいるという。一転、今回の球団の調査以外の事実がさらに明るみに出て、事態が深刻化する可能性もないとは言えない。そのことには留意すべきだろう。
今回の件には昭和野球という、令和の時代にいまだ残る背景がある。同僚の田中将大がこの件を看過したとして反省の弁を述べたが、安樂は自らの起こしたことの大きさに気が付き、深く反省をしているという。そして選手やファンへ直接謝罪をしたいと話しているという。
思えば、安樂は高校以来、重たい荷物を背負ってきた。故上甲監督への思慕のあまり、おかしな方向にねじ曲がり、いじめ、パワハラにつながったという側面もあったかもしれない。
パワハラ行為を起こしたことから、他球団からオファーがあることは考えにくい。楽天もすぐに契約することはないだろう。厳しい立場だが、3年連続で50試合を投げた右腕だ。オファーを待つ間は、重荷を下ろし、十分反省し、安樂自身の未来のために活用してほしい。筆者は再起の道があると信じている。