「異次元の少子化対策」も増税への布石

【石橋】彼が岸田さんに知恵をつけるから、話がややこしくなる。

彼は自民党内で嫌われていますから、自民党と官邸のパイプ役を果たせていない。だから政府と自民党の動きがチグハグになってしまうのです。

LGBT理解増進法案にしても、最終的に自公案に国民民主党と日本維新の会が乗ってくれると岸田さんは思い込んでいました。木原さんがそう伝えていたからです。

田村秀男、石橋文登『安倍晋三vs 財務省』(育鵬社)

ところが国民民主党と日本維新の会が応じるはずはありません。

最終的に政調会長の萩生田光一さんが、日本維新の会代表の馬場伸幸さんに頭を下げ、自公が維新案を丸吞みする形で決着しましたが、これも政府と自民党のパイプ役である木原誠二さんのチョンボだと言っていい。

2023年の伊勢神宮参拝後に岸田さんが唐突にぶち上げた「異次元の少子化対策」も木原誠二さんの入れ知恵のようですが、これも増税への布石でしょう。

財務省は常に増税を政権課題にしたいみたいですね。

財務省が裏から内閣と自民党を操っている

【田村】岸田さんは9月13日の内閣改造で木原さんを官房副長官のポストから外しましたが、自民党は22日の党役員人事で幹事長代理兼政調会長特別補佐としました。岸田さんはやはり木原さんを頼りにしているのでしょう。木原さんは党長老の実力者、二階俊博さんの受けもよいですから。

ポスト岸田の候補と目される茂木敏充幹事長や萩生田光一政調会長の監視役もこなせる器用さもありそうです。

でも、問題は、財務省が気脈を通じている木原さんを介して、岸田内閣と与党を増税に導くことです。

政府の要職者のスキャンダルはまずい。しかし、党の黒子役なら世論の風当たりは弱くなりますから、財務省としても使い勝手がよくなるのです。

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