岸田首相は麻生元首相の二の舞になるのか
【石橋】岸田さんは広島G7サミットを成功させたうえで国会会期末に衆議院を解散し、7月に衆院選挙を実施する考えだったようです。
にもかかわらず、マイナンバーカードのトラブルが相次いだうえ、LGBT理解増進法案(*4)を強行に成立させたことにより、支持率が急落し、解散を見送ってしまった。
首相が自ら解散風を吹かせて、自ら先送りすれば求心力を一気に失います。
古くは海部俊樹さんがそうでした。麻生太郎さんも就任直後に解散しようとしましたが、リーマンショックにより先送りし、結局、民主党に政権を奪われました。
岸田さんは2024年秋の自民党総裁選までに衆院選に勝利し、国民の信任を得なければ、総裁再選が危ぶまれます。7月衆院選を見送ったのは大失敗だったと思います。
*4 LGBT理解増進法案 自民党性的指向・性自認に関する特命委員会が法制化を進めた法案で、正式名称は「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」。LGBT(性的少数者)に関する基礎知識を広め、国民全体の理解を促すための法案。2023年6月23日に成立、同日に施行。
スキャンダルが出た木原氏も元財務官僚
【田村】岸田さんの首相秘書官を務めていた長男が、2022年末に官邸で悪ふざけをしていたのがバレたり、木原誠二官房副長官(当時)のスキャンダルが騒がれたりで、選挙を戦うには不利だと判断したのかもしれません。
しかし、株価も3万円を超えているし、景気は追い風です。そうしたなかで国民に信を問うための選挙をやらないのは愚かしいと思いました。
【石橋】下がり続ける内閣支持率を気にしていたのかもしれません。
私も複数の雑誌で〈総選挙をやれば自民党単独過半数割れはあり得る。〉と書きましたけど、そういう見方を気にしていたのかもしれません。
【田村】スキャンダルになった木原誠二さんも、財務省出身ですよね。スキャンダルが出たときに、すぐに切ればよかったはずなのだけれど……。
【石橋】切れないでしょうね。『週刊文春』が報じた愛人の問題は、その前に『週刊新潮』が報じています。両誌で愛人とされる人物は同じです。スキャンダルが繰り返し表に出ているにもかかわらず、岸田さんは何もできない。
【田村】岸田さんに知恵をつけているのは、木原さんだといわれています。