世界中の情報の7割は英語で書かれている
「いつまでも単語で生活をしていたらダメ。これでは話せません」
シドニーでワーホリをしている若者たちへの取材では、外国人の友達を作って積極的にコミュニケーションした、という人も多かったが、たしかに友達との会話では学べることは限られる。ましてやお互いに母国語が英語でない友達なら、なおさらだ。
日常生活でアンテナを立て、会話を学びつつ、自分も文章で話すことを意識する。いいアドバイスだと感じた。
この文章を書いている私は経営者はじめ、ビジネスパーソンなど数多くの人々に取材を日々、行っているが、英語に関しては強烈な印象に残るコメントをもらったことがある。
「世界の中で見てみれば、日本語で発信されている情報は実は極めて少ない。世界の人々が見ているのは、英語の情報だ。日本語の情報だけに頼っていたら、限られた内容のものだけになり、判断を間違えることが起こり得る」
インターネットで情報を集めるにしても、日本人は当たり前のように日本語で検索を行う。しかし、インターネット上の情報の7割は英語の情報だと言われている。また、世界中に流通している学術系の論文のほとんどは英語だ。
日本語の情報は、極めて限られた情報でしかない、ということだ。量、質ともに圧倒的なのは、英語の情報なのである。
AIへの質問も、日本語か英語かで大きく変わる
折しも拙著『安いニッポンからワーホリ! 最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)を書いているタイミングで、生成AI「ChatGPT」に関して取材する機会があったが、識者からこんなコメントがあった。
「生成AIが取り出してくるのは、ネット上の情報です。日本語で出てくる生成AIのテキストは、日本語の情報から持ってきています。つまり、日本語という限られた情報の中から、回答を導き出しているということです。
したがって、日本人でも英語ができる人は、英語で出てくる生成AIを英語で使っています。そのほうが、圧倒的な質を確保できるからです」
今回ワーホリで、日本語サイトではなく、英語サイトにアクセスできたことで、すばやく仕事を見つけられた人がいた、というのも、まさにそういうことだろう。日本語では得られない情報が、英語なら手に入るわけだ。
そして事前準備をする際にも、できれば英語でやっておいたほうがいいのは、言うまでもない。例えば、オーストラリアが、あるいはシドニーがどんな状況にあるのか。ワーホリの滞在先としてどうか。英語で調べてみれば、日本語よりはるかに多くの情報が流通しているはずだ。