再建時期と術式ごとのメリット・デメリットを解説

再建のタイミングや術式例のそれぞれのメリット、デメリットを岩平医師に解説いただいた。

再建のタイミング

一次再建
メリットは乳がん手術と同時に再建を行うため、乳房の喪失感が軽くなること。デメリットは、乳がん手術までの短い期間で、再建に関するさまざまな意思決定をしなくてはならないこと。

 

二次再建

乳がん治療からしばらく経ってから再建手術を行うので、再建について考える時間がたっぷりあることがメリット。乳がん手術とは別の病院で再建を行うという選択肢もある。デメリットとしては目覚めたときに乳房の喪失感を感じやすいこと。


手術方法
インプラントによる乳房再建
メリットは手術時間が短く、身体への負担が少ないこと。デメリットは感染や破損が起きた場合、インプラントを取り出す必要があること。保険適用になっているエキスパンダーとインプラントによる再建の手術費用は、エキスパンダーが10万〜20万円、インプラントが30万円。高額療養費制度を利用すると実質的な負担額は9万〜14万円程度。
イラスト=NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー「乳房再建手術Hand Book」より
自家組織による乳房再建
メリットは血液の通ったやわらかい乳房を再建できること。デメリットはお腹や背中など組織を取り出す部位に傷が残ること、手術時間・入院期間が長くなること。インプラント以上に医師の技量が問われるため、医療機関の見極めが大切になる。保険適用になっている自家組織による再建の手術費用は、30万〜60万円。高額療養費制度を利用すると実質的な負担額は9万〜14万円程度。
イラスト= NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー「乳房再建手術Hand Book」より
乳輪・乳頭の再建
乳輪は医療用タトゥーで再建する方法、健側から移植する方法、鼠径部など他の部位から移植する方法がある。乳頭は健側から移植する方法、再建された皮膚の一部を切って立体的に形成する方法、タトゥーで立体感を出す方法がある。
イラスト=NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー「乳房再建手術Hand Book」より

新型コロナウイルスのパンデミックも乳房再建に大きく影響をあたえた。乳房再建は一部の病院で「不要不急」とされ、見合わせる動きがあったという。

「現在でも一次再建はおろか、二次再建もストップしている医療機関があると聞きます。乳がん手術で乳房を切除したまま、再建ができず置き去りになっている患者さんは明らかに増えている。これは非常に残念なことです」(岩平医師)