寿命の10年前後から体が不自由になってくる

ところが、今、人間は科学の力を使って、老化を止めて、あわよくば不老不死になろうとしています。これをどのようにとらえるかは、人類のこれからを考える上で非常に重要な問題です。

例えば、延命治療の問題があります。自然に逆らうのは良くないという考えは存在します。その究極は医療の拒否になります。

この問いに答えはありません。

私は個人的には不死になることは望みませんが、死を単に先延ばしにするだけではなく、生きている間、元気でいたいと思うのは間違っていないと思っています。

写真=iStock.com/recep-bg
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老化の特徴は、死にやすくなることです。人間の場合は死ななくても老化すると「有病率」、つまり病気にかかっている割合が高くなります。病気が悪化すれば、寝たきりになって介護が必要になります。

例えば、日本の場合、厚生労働省は健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命を算出しています。最新の2019年の統計では男性72.68歳、女性75.38歳です。

一方、2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。つまり、男女を問わず晩年の10年前後は不健康な生活を送っています。

将来、がんや感染症を予防できるかもしれない

これをなんとかできないか、平均寿命に近づけられないかと考えるのが現代医学です。進化に逆らっているように映るかもしれませんが、私は、科学を使うようになったのも進化の結果だと考えています。

進化することで人間の脳が大きくなり、科学や技術を発展させられたのではないでしょうか。そのような知識も技術も手に入れてしまった以上、後戻りはできないのではないでしょうか。

吉森保、松崎恵理『不老長寿の食事術 オートファジーで細胞から若返る』(KADOKAWA)

例えば、21世紀の今、「傷口から細菌が入っても抗生物質を使わない」と言い張るのは現実的ではないはずです。

ですから、人間は進化で得た科学の力を良い方向に使うべきでしょう。

人間は外敵に命を捕食されるような危険はなくなりました。ただ、まだ病気には打ち勝てません。がんやアルツハイマー病、多くの感染症。これらの病気とどう向き合うかは21世紀の大きな課題ですが、その解となりうる可能性を秘めているのがオートファジーなのです。そして、それは皆さんの日々の心がけで高められるのです。

死ぬ瞬間まで、健康で自分らしくいたいと思いませんか?

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