夜しっかり眠るとオートファジーが上がる

「睡眠はオートファジーの活性化と関係がある」と聞くと「良く寝るとオートファジーが上がる」と思われるかもしれません。ただ、そこまで単純な話ではありません。夜にしっかり眠ることが重要です。

生き物にはそれぞれ固有のサーカディアンリズム(日周期)があります。わかりやすくいうと体内時計です。

一定の時刻がくると自然に眠くなり、一定時間眠ると自然に目が覚めます。体内時計の実態はまだ完全には解明されていませんが、少しずつ明らかになっています。

例えば、人間は洞窟どうくつに閉じ込められて真っ暗な状態にずっといても、25時間周期でしばらくは行動することがわかっています。周囲の明るさに関係なく行動します。

オートファジーと体内時計に関してはハエの実験があります。ハエの体内時計でちょうど寝ている時間に睡眠状態にあるとオートファジーが上がることがわかっています。ですから、注意すべきなのは体内時計の周期に合わせて寝ることです。昼寝しても、オートファジーが上がるわけではありません。

あくまでも動物実験ですが、サーカディアンリズムは多くの生き物に共通する特徴ですので、人間にも当てはまる可能性は非常に高いでしょう。

運動はウォーキングなど有酸素運動がいい

寝ている間にオートファジーが起こるのは「人間には睡眠がなぜ必要か」とも関係しているかもしれません。サーカディアンリズムに従ってオートファジーが上がったり下がったりしていることは、オートファジーが睡眠の質を左右している可能性を示しています。もしかしたらオートファジーを上げることで睡眠の質をよくすることもできるかもしれません。

適度な運動がオートファジーを活性化させることもわかっています。

運動が体に良いのはみなさんも感覚としてわかるでしょう。体を動かさないよりは動かした方が良いのは間違いありません。オートファジーにはウォーキングなどの有酸素運動が有効です。これも動物実験で証明されています。

フィットネスクラブに行く人はトレッドミルと呼ばれる機械をご存じでしょう。有酸素運動用のトレーニングマシーンで、ベルトコンベヤーが動く上を人が走ったり、歩いたりします。

実験用トレッドミルでマウスを走らせたところ、筋肉のオートファジーの量が増え、糖尿病になりにくくなった報告があります。マウスの実験結果ですので、人間にどこまで効果があるかわかりませんが、人間と同じ哺乳類ですのでオートファジーが活性化する効果は見込めるはずです。