親に感情をぶつけさせて発散させる

子どもは、きょうだいに対して感じていることを、親には正直に話してもいいのだと知ると、その感情をきょうだいにぶつけることが大幅に少なくなります。ですから、こう子どもに声をかけるようにしてみてください。

「お姉ちゃんがいるって大変だよね」
「弟ができて、いろんなことを感じていると思うけど、それでいいんだよ――うれしくて楽しいこともあるし、悲しかったり腹が立ったりすることもあるよね」

子どもが大きくなるにつれ、もっと直接的な言葉が役に立つようになるでしょう。

「今日はこれから、お姉ちゃんの体操の試合を見に行くよ。うん、お姉ちゃんばっかり注目されるのは、ちょっといやな気分だよね。そう思っていても、あなたがよい子であることにかわりはないよ」

思い出してください。わたしたちの感情はある意味で、物理的な力のようでもあり、その感情を持たないようにしようとすると、行動となって体の外側に飛びだしていきます。うらやましいと思ってもいいんだよと子どもに言ってやることで、嫉妬の感情が実際に生じたときに、問題を解決しやすくなります。

うらやましいと思うことを許さないと(「お姉ちゃんのことをそんなふうに言わないの!」)、子どもは感情に対処するスキルを身につけられなくなり、嫉妬が悪口(「お姉ちゃんの体操がいちばん下手だね!」)や行動(静かに観戦していなければならないときに騒ぐ、どこかへ走っていったり大声で叫んだりする)として外に出てくる可能性が高くなります。

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きょうだいをけなすことは絶対に許さない

発散させるにあたって、一つだけ譲れないことがあります。わたしは、子どもがきょうだいをけなしたり、悪口を言ったりすることは、絶対に許さない方針で対処することにしています。

わたしにとって、けなすことや悪口は、家庭の中でもきっちり線を引くべきことだと考えているからです。悪口や中傷は、無邪気なからかいではありません。それは、悪口を言われた子どもの自信を損なう行為であり、親が介入して止めないと、そのリスクはさらに高まります。だからこそ、きょうだいに対する怒りや嫉妬について話すのは、親と二人きりのときだけということを、子どもにきちんと理解させておくよう、お勧めしています。

そうすれば、子どもは気持ちを吐き出すための場所を持つことができます。

二人きりのときに、こう声をかけてもよいでしょう。

「きょうだいがいるって大変だよね。お姉ちゃんのことで、たくさん言いたいことがあるって、わかっているよ。ママ/パパと二人きりのときは、好きなだけ話していいからね。あなたの考えを変えようとはしないし、そんなふうに思っちゃだめとも言わない。それから……もう一つ、大切なことは、お姉ちゃんに直接、意地悪な言葉を言ったり、けなしたり、からかったりしちゃだめってこと。ママ/パパのいちばん大事な仕事は、家族のみんなに安全でいてもらうこと。お互いにかける言葉も、安全の一部だからね」