どちらかを「悪者」扱いしていけない
子どもたちには、誰が正しいか/まちがっているか、誰が1番にやるか/2番にやるかを親に決めてもらうのではなく、きょうだい同士で問題を解決できるようになってほしいものです。そのためには、興奮したら、まず落ち着くことを教えなければなりません。調整できているときの子どもは、自然に問題解決できます。
子どもたちがけんかしていたり、興奮したりしていても、体に関して境界線を越える行動(たたく、蹴る)や言葉(脅し、悪口)がない場合、わたしたちがすべきことは、状況を落ち着かせることであって、問題を解決することではありません。子どもたちに調整を強要することなく、あなた自身が調整のお手本を見せてください(「深呼吸して!」ではなく、「深呼吸しなきゃ!」)。
そして、子どもたちそれぞれに、自分の考えを言葉で語らせてください。このとき、どちらかの味方をしたり、どちらかを「悪い子」または「よい子」扱いしたりしないようにしましょう。たとえば、子どもたちが、誰が消防車のおもちゃで遊ぶかでもめているとします。消防車はみんなのお気に入りで、子どもたちは2人とも、叫んで興奮しています。
親は子供の「調整役」に徹する
ここで、問題を解決するなら、「ジェシーはまだ2歳なんだから、先に使わせてあげなさいよ!」とか、「ミカが先、ジェシーはあとにしなさい」と言うことになるでしょう。
そうではなく、落ち着かせるには、「ママ/パパにちょっとだけその消防車を貸して――はい、いまはママ/パパが持っているね。ふう、深呼吸しなきゃ」と言って、何度か深く息をして、子どもたちがあなたの調整を「借りる」ことができるようにします。それから、「うーん、子どもは2人いるのに、消防車は1台しかない! 困ったね。どうしようか? 問題を解決してくれる人はいないかな……」と言ってしばらく間を置きます。
このとき、あなたは子どもが問題解決に至るプロセスを学ぶ手伝いをしているのです。親が子どものために何でも解決してやると、子どもは親なしでは問題を解決できなくなります。そうなると、みんなにとってストレスがたまる状況になってしまうでしょう。