きょうだいを「公平」に扱ってはいけない

また、きょうだいについては、多くの家庭が、「公平」であることを目標にしているのを目にします。それによって問題を減らそうとしているわけですが、実際には、公平に物事を行うことは、問題を起こす最大の要因です。公平さを追求すればするほど、わたしたちは競争の機会を作りだします。

物事を公平に行おうとすることは、子どもの警戒心を刺激することだからです。それは、こう言っているようなものです。「きょうだいをしっかり見張っていなさい。きょうだいと同じものを自分も持っているか、いつも気をつけていなさい」

そして、もう一つ、家庭で「公平」を目標にしないほうがよい長期的な理由があります。子どもは、自分の欲求を知るにあたり、外側ではなく内側に目を向けるべきです。大人になったときに、「友達は何を持っている? どんな仕事をして、どんな家に住んで、どんな車に乗っている? 同じものを持たなきゃ」とは思ってほしくないからです。

子供の内心を言語化し「個人の欲求」に目を向けさせる

公平さから抜け出すための方法をお教えしましょう。子どもが、「こんなの不公平だ!」と叫んだら、内側に目を向けさせてみてください。無理矢理ではなく、お手本を示します。同じものを探して張り合おうとするのではなく(「今度新しい靴を買ってあげるから!」)、子どもの内側で起きていることを言語化します。

「お兄ちゃんだけ新しい靴を持っているのはつらいね。あなたも新しいのが欲しいって? いまはだめだよ。この家では、子どもは自分にとって必要なものを買ってもらうの。あなたの靴は、まだまだきれいでしょう。怒ってもいいよ。気持ちはわかるから」

または、あなたの子どもがこう叫んだとします。「ずるいよ! ぼくがサッカーの練習に行っているあいだに、妹はアイスクリームを食べに連れていってもらったなんて! 明日はぼくを連れていって! ぼくだけ! 絶対だよ!」。ここで、「公平志向」の考え方をしたなら、あなたはこう言うことになるでしょう。「わかった、明日アイスクリームを食べに行こうね」。

すると、子どもは、自分の欲求を決めるにあたり、他人(ここではきょうだい)を参考にするようになります。そうではなく、「個人の欲求」に目を向けさせる対応の例をご紹介しましょう。

親「ママ/パパとアイスを食べに行きたかったの?」

子「うん、今度連れていって!」

親「わかった、じゃあ明日のPNP タイム(註)は、アイスを食べに行くのに使いたいってことね?」

(編註)PNP(プレイ・ノー・フォン)タイム:著者が提唱する、スマートフォンを使わないで子供と遊ぶ時間。

子どもの答えが、「うん」であればそのようにしますし、「どうしようかな」であれば「もちろん。考えてみて。それから、何があなたにとっていちばんいいか教えてね」と、自分の欲求を考えることを促します。

ソフトクリームを食べる親子
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