長子は「親を独り占めできる」と思い込んでいる
きょうだいの関係を考える上で、もう一つ考慮に入れるべき重要なポイントがあります。生まれた順番です。何番目の子どもかということは、それだけで1冊本が書けるくらい大きなテーマですが、ここでは1人目か否かという点についてだけ説明します。
長子は、自分が唯一の子どもであることに慣れています。親の注目を独り占めできる状態で、さまざまな回路が設定されています。ですから、新しいきょうだいを迎えるということは、世界の基礎が完全に揺るがされるのと同じことです。もちろん、やがて慣れていくことはできますが、わたしたち親は、子どもがとても大きな変化を経験していることを認識しなければなりません。
これまで、自分が家族の中で唯一の子どもだという前提で、世界と向き合ってきたのに、それが全部覆されてしまうのです。長子は、新しいきょうだいがやってきたとき、自己中心的に見えることが多くありますが、「妹なんてきらいだ、病院に返してきてよ!」という言葉や、「ぼくを見て!」という願いの裏には、回路の大規模な変化を経験している子どもがいます。
次子は「自分ができないことができる兄/姉」に不安を覚える
2人目以降は、逆の設定を経験します。自分が(まだ)できないことができる兄/姉が常にいて、時間と注目を奪い合っている状態で回路が設定されます。この設定は、ストレスのたまることです。
ブロックでタワーを作ろうとすれば、いつも年上のきょうだいが自分よりうまくやってのけてしまうし、庭を走ろうとすれば、いつもきょうだいのほうが速く走れるし、文字を読む練習をしていると、いつも簡単に読めてしまうきょうだいがそばにいます。
このことは、修正すべき問題ではありません。ただ、そういう力学が存在することを理解する必要があるだけです。もちろん、お兄ちゃんやお姉ちゃんよりすらすら字が読めたり、運動神経が抜群でスポーツが得意だったりする子もいて、こうした状況には、また別の難しさがあります。ですが、生まれた順番の力学を頭に入れておくことは、自分の子どもにどのような不安が引き起こされているか、そして行動を通してどんな満たされない欲求を示しているかについて考える上で、非常に重要なことです。