ソフトバンクはプラチナバンドで通信品質が劇的に改善した
果たして、3MHz幅のプラチナバンドは「貧乏くじ」なのか。
日本の通信業界で最もプラチナバンドに思い入れがある人といえば、ソフトバンクの宮川潤一社長だ。ソフトバンクは2006年にボーダフォンを買収して、携帯電話事業に参入し、2008年にはiPhoneを独占的に扱った。
しかし、「iPhoneは欲しくても、ソフトバンクはつながらないから契約しない」というNTTドコモやauユーザーが多かったほど、当時のソフトバンクは「つながらない」というレッテルを貼られていた。
ところが、2012年にソフトバンクはプラチナバンドを割り当ててもらうやいなや、ネットワーク品質は改善し、いまでは海外の調査会社によるデータでは日本国内においてソフトバンクの評価が最も高かったりするのだ。
宮川社長は「私は貧乏くじだとは思わない。プラチナバンドは帯域が狭くても持っているのといないのでは似て非なるものだ。3MHz幅があれば、相当、エリアカバーに使うことができる。ただ、ユーザーが1000万を超えると、その帯域では足りなくなるだけに、設計をよく検討したほうが良いだろう」と助言する。
宮川社長の「協力してもいい」発言
さらに宮川社長はソフトバンクにプラチナバンドが割り当てられた時を振り返り「900MHzが欲しい欲しいと大騒ぎして、3年間で2兆円を投資して頑張ってきたが、それでもつながらないと言われ続けてきた。そこからこまかなチューニングを10年間やってきここまでのインフラになった」と語る。
一方で、楽天モバイルは10年間で1万局、500億円の設備投資しか計画しておらず「それではさすがにできるとは思わない」(宮川社長)と忠告した。
さらに宮川社長は「せっかく割り当てられた周波数なので、もっと活用してもらいたい。もし、ウチが役立つことがあれば、バックホール回線や基地局の場所などをお貸しするとか、そういったところでも協力しても良いと思う」と語ったのだ。
来年以降、1兆円を超える社債償還が待っている楽天グループ。通信事業での苦戦が続くなか、宮川社長からライバルであるはずの三木谷浩史会長に対して救いの手を差し伸べてもいいという発言があったのは驚きだ。