3歳児の息子と妻

2023年3月。妻は歩行状態が悪化し、介助者がいないと目的の方向に向かえなくなった。

5月になると自分ではあまり食べなくなり、食事介助が必要に。さらに便秘が悪化し、緋山さんは初めて摘便をした。

「妻のオムツ替えには初めのうちは抵抗がありましたが、子どもの世話で慣れていたのですぐに慣れました。とはいえ、さすがに摘便はメンタルをやられました……」

一方、3歳を過ぎた息子がイヤイヤ期に入り、夜の入浴を嫌がるようになった。

「無理矢理連れて行くととてつもない抵抗と大号泣に遭うので、こちらもイラつくし疲れます。なので、5回くらい声をかけても聞かない日は、放っておくことにしました」

すると息子は、そのうち自分で浴室にやってくるか、結局入らないかのどちらかになる。入らない場合は身体を濡れタオルで拭いてパジャマに着替えさせることにした。

「さすがに2日連続で入らないとなると不衛生なので強引に入れますが、自分も息子も気持ちが楽なら今はこれでいいかなと。これで自立心も養えたらとポジティブに考えています」

写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです

息子は自分がやりたいことややりたくないことを伝えられるようになってうれしい反面、妻は話すことがなくなってきていた。

「希望やトラブルを自分で伝えられるということが世話する側にとってはとてもありがたいことで、何をしてほしいのかわからないことがすごく困ることだということが改めてわかります。息子が生まれて3年ということは、妻の病気が発覚してからも3年。乳幼児の世話は手がかかりますが、少しずつできることが増えていき、介護はその逆です。体感的にはここ最近で息子と妻の世話の重みが逆転しかけていて、息子の成長の早さと妻の病気の進行の早さにダブルで驚いています」

4月に小学校に上がった娘は、ほぼ自分のことは自分でできるようになっていた。