「外国のことわざ」から「日本のことわざ」を導けるか?

それでは、2017年度の普連土学園中学校の国語入試で出題された言語知識問題を一部紹介したい。皆さんはすべて正解することができるだろうか。

問 次の①~⑤は外国のことわざですが、似た意味のことわざが日本にもあります。それぞれ後のア~シから選び、記号で答えなさい。

① 卵を割らずにオムレツを作ることはできない。
② プリンの味は食べてみなければ分からない。
③ 娘を得んとすれば、母親から始めねばならぬ。
④ コックが多いとスープがまずくなる。
⑤ ネコがいないとネズミが跳ね回る。

ア 悪銭身につかず     イ 石の上にも三年 ウ 鬼の居ぬ間に洗濯
エ 郷に入っては郷に従え  オ 将を射んと欲すればまず馬を射よ
カ 船頭多くして船山に上る キ 捕らぬ狸の皮算用
ク 憎まれっ子世にはばかる ケ 覆水盆に返らず コ 蒔かぬ種は生えぬ
サ 弱り目に祟り目     シ 論より証拠
《解答は末尾に記載》

複数の個別的事例(具体例)の「共通項」を見出して一般的な結論を見出すその手法を「帰納法」という。この普連土学園の問題はこのスキルが求められることがお分かりになるだろうか。そして、「共通項」とは「言外の意味」に相当する。

矢野耕平『わが子に「ヤバい」と言わせない 親の語彙力』(KADOKAWA)

この「帰納法」は日常生活でも自然に求められるもの。これこそ「察するスキル」と言い表せるのではないだろうか。

「察する」とは「おしはかって考える。推察して知る。また、思いやる。想像する」という意味がある。ビジネスの場で、たとえ話や具体的事例(エピソード)をまぜて話をしてきた際、その送り手の意図がまったく推察できず理解できなければ、あなたは「察しの悪い人」「鈍い人」だという烙印らくいんを押される可能性がある。身に覚えはないだろうか。あるいは、あなたの周囲に「この人には全然言いたいことが伝わらないなあ」などとイラッとさせられるような人はいないだろうか?

「察するスキル」とは、相手の言動から即座に「言外の意味」を読み取る能力なのだ。