ふつうにホメるより破壊力抜群な「カゲボメ」の威力

ホメは、目の前の相手にサラッと伝えるのが基本です。一つの事柄について熱心にホメつづけるのではなく、会話のなかでこまかくホメを織り交ぜていくのが効果的と言えるでしょう。

ただ、じつはどんな人でも実践しやすい、破壊力抜群のホメのテクニックがあります。

それが「カゲボメ」です。これはどういうことかというと、ホメたい相手に直接ホメるのではなく、相手がいないとき、共通の知り合いに「○○さんってすごいよね」などと話す……というものです。

たとえば、僕が後輩の芸人に、

「(アンジャッシュの相方の)児嶋ってさ、やっぱすごいいいヤツなんだよね。いまでもあいつとコンビ組んで良かったって、事あるごとに思うんだよ」

と伝えたとしましょう。

その後、後輩が児嶋と会ったときに、

「そういえば、渡部さんが『児嶋さんとコンビ組めて良かった』って、いまでもちょいちょい思うらしいですよ。このあいだ会ったとき、そんなふうに話してました」

と児嶋に伝えたとしたら、児嶋はすごくうれしく感じますよね。これが「カゲボメ」です。

カゲボメは本人に直接伝えるわけではありませんから、面と向かってだと小っ恥ずかしいと感じてしまうことも言いやすいですよね。また、面と向かって言われるよりも、第三者から間接的にホメられたほうが「本音」っぽく聞こえます。

カゲボメはみんなを幸せにするすごい方法

カゲボメがちゃんと本人に届くのか心配かもしれませんが、大丈夫です。私の経験上、こうしたカゲボメはかなりの高確率でちゃんと本人に届きます。

なぜかというと、カゲボメを本人に伝える第三者(例の場合は後輩芸人)は、絶対にそのホメを児嶋に伝えたいと考えるはずだからです。というのも、ほかの人がホメていたことを伝えれば、児嶋がうれしいと感じるはずですよね。

渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)

自分の発言によって喜んでいる姿を見るのは、その人にとっても気持ちのいいことです。したがって、後輩芸人は児嶋に、自分がホメていたことを伝えてくれるのです。

つまりこの「カゲボメ」は「ホメた人」「ホメられた人」「伝えた人」の三人みんながいい気持ちになれるわけです。

たとえば会社でも、上司が部下をホメるとき、同じ部署にいる別の人に

「Aくん、最近がんばってるよな」

などとカゲボメすることで、本人に直接伝えるよりも効果的になります。難易度が低い割には非常に効果的な方法なので、ぜひ活用してみてください。

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