従業員を“コスト”と考えるうちは大成しない
「従業員とは、道具ではなく大切な家族。販管費やコストではなく、価値創造の担い手である」と倉本長治は言う。しかし、いまだに多くの経営者が従業員を道具として扱い、コストとしてみなしている。道具やコストに価値創造ができるはずもない。だから、あなたの事業は大成しないのだ。
さらに倉本は、従業員とは本来、自分と同じ心を持つ「第二の自分」と説く。だから、一人を見いだすためにも、育てるためにも、あたたかい愛情が欠かせないのだ。くすぶっていたM店長を本気で叱り続けた柳井の向き合い方にそれを見ることができる。
「人は、失敗を繰り返さないと成長しません。失敗するからこそ、考えることを学ぶのです。だから何度でも失敗してほしい。その経験を通じて学び、成長してほしい」と柳井は社員に言い続ける。それは自らもそうして成長してきたからだ。
店は店員とともに栄える――。ファーストリテイリングの成長がこの真理の正しさを証明している。そしてもう一つ、柳井が座右の銘としつつも、自らの執務室に掲げた額には書かれなかった教えがある。それについては、次回に譲ろう。