真面目な方ほど悩みを一人で抱えがち

育児において何が良いか悪いかは親と子次第なので、さまざまな選択肢が尊重されるように育児中の家族を囲む社会がお母さんやお父さんに優しくなってほしいと思います。

ハーバード大学が行った最もよく知られている研究の一つに、約80年間にわたって実施された一般男性の追跡調査があります。その研究結果で最も注目されたのが、強い社会的つながりを持っている人ほど幸せであることが確認されたというものでした。

家族のために働いてきた男性が、退職した途端、メンタルの調子を崩すこともあります。世界的に労働時間が長い日本人にとって、仕事のタスクや職場の仲間との日々の会話がなくなることで、退職してからの人生は孤独を感じやすいかもしれません。

また、仲間や家族がいればいいというわけではなく、結婚していたとしてもそうでなくても、孤独を感じることは誰にでもあるものです。

心理学や社会福祉、公衆衛生の分野に「ヘルプシーキング」(援助要請)という言葉があります。これは、周りの人に助けを求めるスキルのこと。

特に男性は「人に頼ってはいけない」「男たるもの弱さを見せてはいけない」という社会からのプレッシャーを背負わされることが多いので、誰かに頼るべきときに頼ることが苦手で「助けて」と言えない方も少なからずいらっしゃいます。真面目な方ほど周囲に迷惑をかけてはならないと悩みを一人で抱えがちです。

しかし、つらさや寂しさを一人で抱える必要はありません。趣味を通して誰かと知り合うこと、仕事の仲間と仕事以外のことを楽しむこと、家族に愛を伝えること、また、時には寂しいと感じて涙することは、男性でも女性でも大切にしていいことなのです。

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相手を喜ばせる一言をかけてみる

話しかけることに不安を感じる場合は、「この人は優しそうだ」と思える人に、その人が喜びそうな褒め言葉を言ってみるといいかもしれません。

小学校2年生の私の息子の学校の課題で、「割り当てられた同級生のいいところを具体的に3つ探して、それを手紙に書く」というものがありました。息子はあまり話したことがない女の子が当たり、何を書いたらいいかと1週間ジーッと彼女を観察したそうです。

すると息子が読んでいたドラゴンのファンタジー小説を目にして「私もその本好きなんだ。貸してくれる?」と聞いてきたそうです。同じ本が好き、それを伝えてくれた彼女の言葉が嬉しかったようで、そのエピソードを彼女への手紙に綴りました。

こんなふうに、相手を喜ばせる一言をかけてみたり、勇気を出して誰かとのつながりを求めたりしてみると、安心して助け合える関係が作れることもあります。人間は大昔から集団で生きてきたので、誰かに助けてもらったら「申し訳ない」気持ちになるのではなく、「ありがとう」と感謝して、自分も誰かを助けられる人間でありたい。私はそう思います。

もう一度強調しておきたいのですが、孤独な状況というのは、「あなたに価値がない」ということではありません。一人の時間があるということは、自己研鑽や趣味に使う時間があったり、身も心も自由であるということ。

「自分は自分の人生を生きている」と感じられるのであれば、一人で過ごす時間を大切にしてもいいのです。このように、自分に向き合い、一人で過ごす「孤独」は、誰にとっても必要な時間です。

また逆に、孤独を寂しいと感じることも、自然で悪いことではありません。そんなときにはアプローチしやすいところから人との関わりを求めてもいいのです。