自分らしく生きるために必要な時間

孤独なときにつらい、寂しいと感じるのは自然なことですが、それを恥ずかしいと感じてしまうとしたら、社会的な価値観の刷り込みによるものかもしれません。協調性のあることがよしとされ、学校でも家庭でも「人と仲良くするように」と教わりながら育ってきた人が多いと思います。

そのため一人でいる時間が長かったり、人との交流が苦手と感じたりしている場合、「自分はダメな人間なんだ」とか「欠陥があるのでは?」と、自分を責めてしまう人が少なくないように思います。でも、まったくそんなことはありません。

どんなに楽しい付き合いでも、他人に気を遣ったり、礼儀正しく振る舞ったりすることに疲れてしまうこともある。一人になって「人に無理に合わせなくてもいい時間を持つ」ことは、自分らしく生きるために必要なことだと私は思っています。

だから私は一人でお気に入りのレストランで食べることもありますし、買い物などは一人でしたいと思うタイプです。

レストランで中華料理を食べる若い女性
写真=iStock.com/Satoshi-K
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一方で心配事や悩みを抱えているときには、人と会って話をすることがメンタルヘルスにいい影響を与えます。

誰かと話すことは気分転換にもなりますし、自分が過敏に反応している事柄に対し「実は周囲の誰も関心を払っていない、大したことじゃなかった」と知るきっかけになることもあります。

話しているうちに探し求めていた答えがふと見つかったり、自分以外の誰かと価値観を共有できてちょっと安心できたり……。他者と話す時間を持つことでつらかった重荷が取り除かれて心が軽くなったという経験がある人も多いでしょう。

育休中に孤独を感じやすい理由

ところで私が最も孤独を感じたのは息子たちが小さかった頃の育児期間でした。子どもと離れる選択肢があまりなく、ほとんどの時間が子どもに合わせて生活するものとならざるをえず、自分が行きたいタイミングでトイレにさえ行けなかったこともあります。

家族が増えたタイミングで、子どもとずっと一緒にいるのに孤独を感じるのは不思議な感覚でしたが、このように感じる育休中の親の声は少なくありません。

少し授乳の間隔が広がり、子どもを連れて家から出られるようになったときに、自分が好きなものを食べたり、会いたい人と会ったりする時間が少しでもできたことで、メンタルヘルスにいい影響があったのは明らかでした。育児は誰かがやらなければならないものですが、親として人生のすべてを子どものために捧げなくてもいいと思わされました。

パートナーと相談しながら自分の時間を確保することで、心が楽になることもありますし、私の場合は12週間の産育休を終えて、子どもを保育園に預けて仕事に戻った途端に、誰かの人生に貢献することが可能な仕事ができることに安堵あんどを覚えました。

そして、その分保育園に迎えに行った後に息子と過ごす夕方からの時間や週末の時間がスペシャルなものにもなりました。