イライラした感情が生じたとき、どのように対応すべきか。ハーバード大学に務める小児精神科医の内田舞さんは「感情のコントロールをしたいとき、私が一番好きなのは嫌な気持ちと向き合い『再評価』するという手法だ。『感情』『考え』『行動』の順番に分けて再評価することで、別の視点を得られ行動を変えることができる」という――。

※本稿は、内田舞『REAPPRAISAL 最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

子どもの部屋に置かれたブロックのおもちゃ
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嫌な気持ちと向き合い「再度、評価し直す」方法

感情をコントロールするのは簡単なことではありません。私もそれは皆さんと同じで、日々起きた出来事になんとなく嫌だなとモヤモヤしたり、不安なことがあるとそればかり考えつづけたり、その結果、パートナーや子どもにイライラとした感情をぶつけてしまいそうになることもあります。

しかし、失敗はつきものだけれど、そんなときこそなるべく私自身が研究している脳と心の科学の知識を活かして自分の感情を見つめ直し、新しい視点を取り入れ、行動を変えることを心がけています。

ネガティブな感情が収まりそうにないときはどうすればよいのか。感情のコントロールの仕方にはいろいろな方法があるのですが、私の一番好きな方法が「再評価」という手法です。

再評価は「嫌な気持ちの扱い方」とも言えるかもしれません。具体的には今抱いているネガティブな感情に対して、正直に自分自身と向き合って、「どうして今このように感じているのか」や、「その背景にある考え方や自分の経験とはどんなものなのか」、そして「その感情や考え方から起きている行動を変えることはできるだろうか」と感情が湧いた状況を「再度、評価し直す」方法です。

モヤモヤ、イライラ、怒り、嫉妬、落ち込みといった感情はすべて自然な感情でありながら、溜まりすぎるとストレスとなって心身の不調につながる上に、感情的になりすぎると周囲の人との関係を破壊しかねません。

だからといって表面だけ無理やりポジティブに変えようとするのは、むしろ精神衛生においては逆効果になります。