メンタル不調になりやすい人にはどんな特徴があるのか。心療内科医の鈴木裕介さんは「休むことに遠慮や罪悪感があり、限界まで休みたいと言い出せない。真面目な人ほど自分自身を追い込んでしまう傾向がある」という――。

※本稿は、鈴木裕介『心療内科医が教える本当の休み方』(アスコム)の一部を再編集したものです。

暗い部屋の床に座り込む女性
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真面目な人ほど、自分の心をすり減らす理由

自らの疲労、ダメージを自覚し、「休んだほうがいいかも」と気づいたとしても、「休む」を実行するには、そのための環境を確保しなければなりません。

つまり、振られた仕事や家事など、日々のやらなければいけないことの手を休め、休養のための時間を調達しないといけないのです。そのために、いま抱えている業務をほかの誰かに引き継いでもらうなど、周囲の協力が必要になってくるケースも多いでしょう。

しかし、素直に「自分が不調である」ということを第三者に伝えられる人が、どれだけいるでしょうか。

心配をさせたくない、迷惑をかけたくない、評価を下げたくない、スキを見せたくない、といったさまざまな心理が、「休みたい」と伝えることの障壁になってしまうのです。

相手が上司など自分を評価する立場の人であれば、仕事のうえで不利になるリスクが高まります。また、疲労が蓄積するほど思考力が下がるため、合理的な意思決定は困難になり、自己評価も下がるので、ますますヘルプを出すことが困難になります。

休職が必要なレベルにまで追い込まれていたとしても、「自らの限界を伝えヘルプを求める」というリスクを背負うぐらいだったら、このまま働き続けていたほうが精神的にラクだと思う人も少なくありません。

なぜ「仕事を休みます」と言い出せないのか

「休む」ことを宣言するというのは、それほどまでに勇気が必要なことなのです。

精神科医の松本俊彦先生は「自分のつらい気持ちを打ち明けることは、『清水の舞台から飛び降りるほどの勇気』が必要なことである」と言っています。また、私のクリニックに来られたある方は、休職を打診したときにこうおっしゃっていました。

「ずっと気持ちを奮い立たせてきたから、いったん休んでしまうと切れてしまって、二度と今までのように頑張れないんじゃないかと不安なんです」

また、実際に休みに入っても、「働いていない」罪悪感から落ち着けなかったり、「役に立てていない」自分が許せずに、何か資格の勉強を取ろうとしたり、自分への怒りをつのらせて疲弊してしまう人も少なくありません。

「休みをきっかけに何かを変えないといけない気がする。このまま仕事に戻っても、また元通りになって、何度でも繰り返してしまう気がして、それが一番怖いんです」という不安を訴えた方もいました。

休むための環境を確保することは、甚大じんだいな心理的コストを必要とする技術なのです。この困難さに大きく関連する要因として「過剰適応」という概念があります。

これは、休むことにまつわる罪悪感とも大きく関わってきます。