区長は区ごとに公募され、応募資料として各区の課題をまとめた論文を提出している。だが、都島区と生野区、住之江区は1次面接の合格者がゼロで、最終的に別の区の希望者が振り分けられることになったため、必ずしも区の実態に詳しいとはいえない。また公募自体の話題性に比べると、実際の応募者は少ない印象がある。給与面でも「増えた」との回答が多いことから、特に「高給取り」の人材は集まりが悪かったといえそうだ。
橋下市長は区長らに「個性豊かな区政運営で24区を24色に染めてほしい」と話した。24区長の予算編成権限は来年度、約52億円から約781億円と約15倍に拡大する。裁量権は大きく広がるが、その権限はソフト面に限られ、施設整備などハード面では市の各局の協力が不可欠だ。
現在、24区長は火曜と金曜の夕方、一堂に会している。橋下市長や前横浜市長の中田宏特別顧問らを交え、1時間半ほど各区の課題などを報告しあう。臣永西成区長は「区役所で孤立しないための叱咤、激励、それに役人に取り込まれていないかをチェックする監視の目的があるのだと思う」と話す。
公募区長たちの実行力は未知数だが、それぞれの個性は際立っている。
北区の中川暢三区長は元鹿島建設社員。松下政経塾に入塾していた経験がある。05年より故郷の兵庫県加西市長を2期務め、2011年3選を目指すが落選。その後、大阪市長選への出馬を表明するが、のちに立候補を取りやめ、区長公募に応じた。
加西市長時代は「子供にツケを回さない」をモットーに行財政改革に取り組んだ。「理想の政府は徴税権と行政処分以外はすべて民間委託」が持論。それでも北区の職員については「正直にいえば、加西市の職員より優秀です」と話す。