引き出しは「率」で考える

そこで、引き出しも「率」で評価して、「資産は3%で運用して、引き出しは残高の4%の場合、その年の資産残高は増えますか?」と聞かれれば、「残高はおおむね1%減少します」と回答することができます。

これは、さながら天秤のそれぞれの皿に「%」で測った、運用収益と引き出しが乗っていて、どちらが多いかを比較することができるようなものです(図表2)。

資料提供=フィンウェル研究所

その結果、65歳から80歳までの15年間で毎年残高が1%ずつ減少するように設計すれば、80歳で2400万円を残すためには65歳時点で2800万円程度の資産があればよい、ということになります。

「運用」で頭がいっぱいになると失敗する

図表3に、AさんとBさんの引き出しを「年初に100万円を引き出す」という定額引き出しから、「年初に残高の10%を引き出す」という定率引き出しに切り替えた場合の2年目末の残高を示しました。どちらも「864万4500円」で同じ金額になります。

資料提供=フィンウェル研究所

人生100年時代を声高に聞かされる中で、資産運用(殖やすこと)の重要性だけが金融機関から指摘されています。しかも、運用でもうけられるかどうかの視点が強過ぎることも課題です。

現役時代ならともかく、退職し、資産を使う局面になったら、運用成果と併せて、どのように取り崩すかが資産寿命を延ばすために大切な視点であることを理解すべきでしょう。

退職したあと、保有する資産をあっという間に枯渇させる人と、長くもたせることができる人の差は、つまるところ、資産をどれくらいの運用収益率で運用できたかの違いではなく、資産の引き出し方を知っているか知らないかの違いにあるのです。

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