NISAで定額つみたて投資をする際に気をつけることは何か。『メガ盛「株ドリル」億を儲けた“鬼神プロトレーダーの技術”全部のせ』(KADOKAWA)の著者で元機関投資家トレーダー堀江さんは「ドルコスト平均法を使って長期投資を行ったとしても、値動き次第では損をする。決してほったらかしにしてはいけない」という――。
ブタの貯金箱
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「毎月定額つみたて投資」に潜むワナ

問題:NISAで20年間、毎年定額つみたて投資をして儲かる値動きはどれ?(複数回答)

答え:

利益が出るのは②、③、⑦

YouTubeチャンネル「元機関投資家トレーダー堀江の資塾」を運営している堀江と申します。2003年から2013年の間、地場証券会社、上場証券会社の自己売買部門のトレーダーとして働いていましたが、アベノミクスが本格化した2013年以降は、トレードで稼いだ税引き後の利益が、すべて自分の手取り収入になる個人投資家に転身しました。

さて、個人投資家の間では、2018年に始まったつみたてNISAを使ったインデックスファンドへの毎月定額つみたて投資が大流行しています。

2024年からは新NISAがスタートし、定額つみたて投資の上限が現行のつみたてNISAの年間40万円から、新NISAではつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円まで拡大されます。総額360万円という年間非課税投資枠の上限額を月々均等割りすると、毎月30万円ずつつみたて投資ができます。

投資対象としては、S&P500や全世界株式に連動するインデックスファンドが人気です。

中でも、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、2023年5月1日に純資産総額が初めて2兆円を突破。日本一の投資信託として、今後もますます資産残高が増えるでしょう。

運用コストの安さも考えるなら、新NISAのつみたて投資対象はこの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と、同シリーズの「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(日本株も含むタイプ)」が、定番中の定番といっていいでしょう。

ドルコスト平均法は「100%正解」ではない

毎月決まった金額で投資信託の定額買いつけを行うと、基準価額が高いときには少ししか買わずに済み、逆に安くなったときにはたくさん買えるので、平均購買単価を引き下げることができます。

この効果が得られる手法は「ドルコスト平均法」といわれ、投資のタイミングがわからない投資初心者にとっても最良の投資法として紹介されることが多いようです。

ネット証券を使えば、銀行口座からの自動引き落としだけでなく、クレジットカード決済も可能。まさに“貯金”感覚で始められます。

そのため、インデックスファンドへの毎月定額つみたて投資は投資初心者の方が投資デビューするには非常にいい投資対象と投資方法であることは間違いありません。

それを否定するつもりはまったくありません。

しかし、最近のSNSなどを見ると、あたかも、このドルコスト平均法を使った毎月定額つみたて投資が「100%大正解」で、「元本保証にこだわって銀行に預金するぐらいなら、S&P500につみたて投資をするほうがよっぽどいいし、絶対に儲かるはず」といった論調も多くなっています。

その点については、元プロとしては首をかしげざるをえません。