運用成績が4000万円以上プラスになったのは…

損益が一番大きなプラスになったのは③です。運用開始10年目まで激しく下落して基準価額が10分の1まで目減りしたあと、5年間底ばいが続き、最後の6年間で運用開始時点の7割まで基準価額が回復したケース。運用資産は3倍以上の6565万円まで増加しました。

意外なのは、⑦のように運用開始から18年間ずっと下落し続けて、基準価額が100から10まで値下がりしたあと、最後の20年目に50まで挽回したケースがプラスの運用成績に転換したことでしょうか。

ドルコスト平均法は、一貫して右肩上がりが続くより、運用中にいったん大きく下落して、安い価格でたくさんの口数を買い集めたあと、最後に値上がりしたときの投資結果がよくなる不思議な投資法です。

また、運用最終盤の基準価額によって運用成績が大きく左右されます。毎月のつみたて額は少額でも、20年、30年という長期運用の終了間近には相当な資産総額を投資していることになるからです。

運用の終了間際に暴落に見舞われると、暴落前に買った分がすべて高値つかみになってしまい、資産全体に悪影響が及んでしまうわけです。

投資家は株式を取引しています
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ドルコスト平均法の効果は気休めでしかない

運用開始1年目に元本の全額を投資した場合、運用最終年に暴落に見舞われても、運用開始時点の基準価額まで下がらなければ、運用成績をプラスで維持できます。そう考えると、全体として右肩上がりの相場が続く場合は、最初に元本すべてを投資したほうが断然有利です。

ドルコスト平均法の場合、運用途中で基準価額が半値になるような大暴落に見舞われても、最後に巻き返せれば大きな利益を積み上げることはできます。

しかし、「いったん下がって最後に巻き返す」ということを最初から想定して投資する人なんて、果たしているでしょうか。

多くの人は大切なお金を投資する以上、投資対象が右肩上がりで上昇していくことに期待して投資を始めるはずです。

そう考えると、ドルコスト平均法の効果というのは、ほかのプロも指摘しているように「投資期間の途中で暴落しても最後に巻き返せばなんとかなるよ」という“気休め”程度のものでしかないように思えます。