運用途中に下落したらどうなるのか

というのも、ドルコスト平均法を使って10年、20年の長期投資を行ったとしても、最後の数年の値動き次第では損してしまうこともあるからです。

運用期間の最終段階で投資対象となるインデックスファンドが、期間中の平均購買単価を超えて上昇していない限り、いくらドルコスト平均法を使って、つみたて投資を続けても、トータルでは元本割れしてしまうことになります。

問題に示した①から⑨のグラフは、20年間の投資信託の価格の推移を示したものです。

9パターンの値動きのうち、20年間、毎年定額つみたて投資した場合、最終的に20年後の年末に利益が出るのはどれか、まずはパッと直感で考えてみましょう。

当然、投資信託の値動きが右肩上がりでずっと上昇していれば、20年後に利益が出ているはずです。

多少の上下動はあっても、運用開始1年目に比べて運用終了20年目の価格が上昇していれば、運用成績がプラスになるというのが自然なことのように思えます。

ただ、運用途中に大きく上昇したあと、運用終了直前で下落して運用開始1年目の基準価額やそれ以下まで下落した場合はどうでしょう。

逆に値動きが一貫して右肩下がりの場合は元本割れしているのが明らかでしょう。20年間の運用期間の前半の調子がよくても、後半の調子が悪いと、運用成績がマイナスになるのも、なんとなく予想できるのではないでしょうか。

20年後に大損になる「値動き」

グラフの①~⑨が毎年、年始の基準価額で100万円ずつ、20年間総額2000万円をつみたて投資した場合の、20年目の年末の基準価額で見た資産評価額になります。

たとえば、①のように、運用開始当初に勢いよく上昇して基準価額が高止まりしたあと、運用開始16年目から徐々に下落してしまった場合、たとえ20年目の年末の基準価額が運用1年目の基準価額を上回っていても損益はマイナスになります。途中の高値つかみが響くからです。

⑥のように運用中、右肩上がりで上昇を続けても、運用20年目に大暴落して基準価額が高値の半値近くまで減少した場合も、意外に思えますが、損益はマイナスで終わってしまいます。

④や⑧のように運用途中で暴落に見舞われたときもマイナスです。

⑤や⑨のように運用途中で大きな上下動を繰り返したときも、20年目の年末の基準価額次第で、わずかに損益はマイナスになります。

では、逆にドルコスト平均法が効力を発揮して運用成績がプラスで期間満了となるのは、どんなときでしょうか。