半導体製造装置の国産化は困難
中国の半導体消耗材生産に従事するある関係者は、日本の輸出管理規制は、国産化の代替プロセスをある程度加速することになるだろうと期待している。
中国国内の顧客は国産品の入札や選択を強化することになり、国産メーカーにチャンスが生まれるという。
しかし、製造装置や消耗材の国産化はチップ本体よりも困難だ。
顧客とサプライヤーのビジネス関係はいったんできてしまうと、離れがたい粘着性があり、中国国内の多くのファブは、長年にわたって海外サプライヤーとの間に拘束力のある関係を築いており、国産サプライヤーに変える場合はリスクが生じる。
また、絶えず技術更新していかねばならず、大量の時間と資金を使って試行錯誤を重ね、時にはサプライヤーに研究開発費を提供せねばならない。後発企業が追いつくのは困難だ。
痛みに耐えられるか、滅びるか
中国国内企業の一部は技術的に顧客の求める基準に達し、日本のサプライヤーの代替になれるレベルだという。だが、これまでは、予備製品を製造しているか、せいぜい少量の製品を供給するだけで、テスト運転の機会を得ることすら困難だった。
国際半導体産業協会の推計では、2024年に世界のファブの設備機器への支出は920億ドル、前年比21%増という。
上述の関係者によれば、業界の法則では、2024年はファブの拡張サイクルに入り、半導体設備需要が増加するという。
日本などによる輸出管理によって国産品開発が必要になり、これまでは外国サプライヤーにはじき出されていた中国メーカーが、大工場に製品を納入する機会が否が応でも拡大する。
ただ、その過程では中国企業にも相当の痛みがともなう。
これはいわば、中国のファブとエンドユーザーにとって「陣痛」のような時期だ。
この時期を経て、中国の半導体国産化への道が開けるのか、それとも中国の半導体産業が滅びるのか。
それは「陣痛」の時期があとどれくらい続くか、その時期を耐える体力が中国企業にあるかどうかにかかっている。