政治が荒れた2024年、そして2025年は…
株式市場には「辰巳天井」と言われる相場格言がある。辰年と巳年は株価が高騰する年で、今年(2024年)と来年(2025年)がまさにそれに当たる。
その格言どおり、株価に関しては日米の市場がともに好調のまま、年の瀬を迎えることになりそうだ。
その一方で、辰年の今年は政治が荒れた。石破政権が脆弱な日本、次期大統領がトランプ氏に決まったアメリカ、「戒厳令」騒動で激震の韓国、それに連立政権が崩壊したドイツや内閣が総辞職に追い込まれたフランス、アサド政権が崩壊した中東のシリア……。
その影響が顕在化するのは来年だ。政治の世界、特に民主主義国家の政治を展望すれば、株価とは真逆の「辰巳底値」とでも言うべき状況が続くと考えていい。
石破首相が直面する「サブロク危機」
まず、日本から見ていこう。国内の主な報道機関8社が実施した11月の世論調査のうち、5社(NHK、共同、読売、日経、産経)で石破内閣の支持率は40%台を記録した。
これらの中に、10月と比べ上昇しているケースがあるのは、「他党にも丁寧に意見を聴き、可能な限り幅広い合意形成を」と述べてきた石破首相の政治姿勢が、有権者に辛うじて受け入れられている結果ではないか、と筆者は見る。
ただ、党内基盤が弱い(ほぼない)うえに少数与党での国会運営を余儀なくされる石破政権が長く続くとは考えにくい。
来年度予算案の採決が佳境を迎える3月、あるいは、通常国会が終盤に入り、東京都議会議員選挙と参議院選挙も間近に迫る6月は乗り越えられないのではないだろうか。これが「サブロク危機」である。
国会裏にある衆参両院の議員会館では、石破首相が所信表明演説で「103万円の壁を引き上げる」と述べて以降、重そうな書類を抱えた財務省職員の姿が散見されるようになった。
彼らは、インナーと呼ばれる自民党税制調査会のメンバーの事務所を回り、「103万円の壁をどこまで引き上げるか」の落としどころを探っているのだ。