日本は中国の「アキレス腱」を狙った

チップ製造は中国半導体産業の弱点である。製造はフロントエンドとバックエンドに分かれていて、中国はフロントエンド設備の国産化が比較的弱い。

今回の日本による輸出管理規制は全てフロントエンドに関わるもので、まさに中国の半導体国産化のアキレス腱を狙ったものだった。

写真=iStock.com/ziggy_mars
日本は中国の「アキレス腱」を狙った(※写真はイメージです)

中国の半導体設備市場全体の国産化率は2022年段階で22%。領域を細分化して見ると、洗浄、熱処理、CMP、エッチングなどの設備領域についてはすでに一定の市場シェアを獲得している。

だが、リソグラフィ、測量・検査装置、塗布現像装置、イオン注入装置などの領域では2022年の国産化率は10%以下だ。

たとえば2022年の中国内の華虹半導体ファウンドリ無錫工場の様々な入札設備の全体の国産化率は20%に満たない。

中でも、日本の輸出管理規制リストにある薄膜堆積装置(PVDやCVD)の国産化率は10%、検測・測量装置が2%、リソグラフィ、フォトレジスト塗布装置は0%だった。

成果を上げている中国企業は少数

今のところ、この分野で成果を上げている中国企業は少数だ。

「芯源微」は国産フォトレジスト塗布装置に注力している。フロントエンドのフォトレジスト塗布装置では、28nm以上のプロセスノードに対応できるものが完成しており、さらに高度プロセスを目指して更代(技術更新)していけるという。

「中微(AMEC)」のエッチング装置は5nmノードに達している。また「北方華創」は、エッチング装置、薄膜堆積装置、熱処理装置、洗浄装置などを手掛けており、2022年の電子プロセス機器の売り上げは121億元、粗利益は37.7%で、前年比4.7ポイント増加したという。