身体の揺れを抑え、安定した状態を保てる

「休め」のポーズが疲れにくいもうひとつの理由は、体の揺れを抑えるために「筋肉以外の力」が手伝ってくれるからです。

「休め」のポーズでは、筋肉以外にも腹筋と背骨の椎間板が体の揺れを抑えてくれます。たとえば、体を後ろに反らすと腹筋が縦に伸びますね。同時に背骨も動いて背骨のクッション役である椎間板が圧縮されます。この伸びた腹筋や縮んだ椎間板の自然な反発によって、体のバランスが保たれるのです。

さらに、胸が張ることで肩甲骨と腕の動く範囲が3割ほども増え、呼吸が広がります。深く呼吸できるので、さらに疲れにくくなるのです。

また、正しい気をつけの姿勢をしたときに、足全体に「スクリューホーム運動」という動きが起こります。

これは、人間の大腿骨の関節の形状がカーブした構造であることにより、膝をまっすぐに伸ばして立つ際に大腿骨に対して下腿が外旋する動きのことです。

こうして膝をまっすぐに伸ばして立つと、膝関節や骨盤まで足全体がカチッとロックされたような状態になり、一本の棒のように安定した状態が保たれます。

「休め」のポーズでも、ピンと伸びた後ろ足が「スクリューホーム運動」でロックされた状態になり、安定します。かつ、前足はフリーでリラックスしています。

もしも後ろ足が疲れてきたら、前後の足を入れ替えればいいので、長くこの姿勢を保つことができるのです。

ゆがみが改善されて不調も解消される

リラックスしつつも体をゆがませない「休め」のポーズを日常的に採り入れれば、無理なくインナーマッスルも鍛えられ、なめらかに体を動かせるようになります。また、肩甲骨や骨盤が動きやすくなり、安定してさっそうと歩けるようになります。

体のゆがみも改善されていくので、ゆがみからくる不調がなくなり、O脚といった悩みごとの解消にもつながるのです。

実際に、私の整体やセミナーに通い、正しい「休め」のポーズを続けたことで、不調が改善した方はたくさんいらっしゃいます。

生理不順や重い生理痛が改善した女性もいますし、外出時は車いすが必須だったのにたった3カ月で自らの足で海外旅行に出かけられるまでになった82歳の女性もいます。

そして、私自身も腹が引き締まって腰の痛みもなくなったばかりか、還暦目前にして、世界一過酷といわれるサハラ砂漠250キロメートルマラソンを完走し、南米アマゾンのジャングルを合計700キロも走れるようになるほど、バランスのいい強靭きょうじんな体を手に入れました。

写真=iStock.com/mapo
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