「海鮮品を値引きした理由は処理水」?

たとえば、以下のような有象無象の情報が飛び交っている。

「抖音で『ロシアの専門家が日本に水爆を使用する事により、短期間で核廃水を浄化する事ができる』という動画が流行っていた」
「TikTokで、長崎の赤潮発生で養殖魚が大量死したことも処理水が元凶という動画を見た」
「日本のスーパーで閉店時間近くに貼られる値引きシールが映り、海鮮品の値引きの理由を処理水としている動画を見た」

まったく同じ文面を違うアカウントが投稿しているケースも多い。ただのコピペ投稿かもしれないし、すべてがフェイクニュースの可能性もあるし、真実が混じっている可能性もある。少なくとも、一般ユーザーがすべてを確認することはかなり難しいだろう。

「#処理水」動画は2640万回も視聴されている

表示される動画の中には、処理水は危険ではないと説明するものもあるが、「処理水の海洋放出」として黒い水が海に流れる動画や、色水を薄めて風呂に入れることを繰り返して風呂の水が染まる様子を実験として流している動画など、フェイクニュースや不安感を煽るような動画も多く混じっている。

TikTokでは、9月13日時点で「#処理水」は2640万回、「#処理水海洋放出」は330万回、「#原発処理水」は250万回、「#福島原発処理水」は85万7700回と、処理水関連の動画は驚くほど視聴されている。「#処理水では汚染水」「#処理水じゃねぇ」など、中国側の主張に沿ったハッシュタグもある。

写真提供=筆者
TikTokで「処理水」と検索した結果

処理水という政治色の強いテーマの動画がTikTokでこれほど多く視聴されているのはなぜだろうか。そこにはSNSならではのカラクリがある。