ジャニーズ成功の本当の理由
思想誌『ひらく9号』にも論考「“青髭公”ジャニー喜多川の秘密の城」として文化論的側面から書いたが、日本の芸能やエンタメは海外から見たときに異様と映るほどの低年齢志向が強く、それは年端も行かない少年少女に大人が欲情し消費するという非常に特殊な構造を見せている。社会的には「まともである」と自認する男女が、少年少女に「可愛い」と普通に欲情し、「見たい」と欲し、それが承認される社会なのである。
あえて誰も口にしないが、アイドルという脱脂・脱臭された虚像に大人の女までもが人生を投入するのは(実際の男と生々しくどうこうするより遥かに)無害、可愛げがあると承認されてきた。ジャニーズで取り立てられるのは「ジャニーさんお気に入りの背の小さい(ツルッと中性的で可愛い)子」であるとの認識も、広く共有されていた。
そんなジャニー喜多川氏の「好み」のアンテナと、日本の女性ファンの「好み」とが恐ろしいほどに一致していたのが、帝国と呼ばれたジャニーズの成功の理由である。
そして、産業として成功し稼ぎを上げているサイクルに、男性は異論を唱えない。その一方で、「俺はそういうの関係ないけどね」というポーズを誇示しつつ、男性同士の性加害はからかいの対象だ。日本は、男も、女も、男性からの性加害を受ける男性を救う構造になかったのだ。
これは日本社会が歴史的に抱える慢性的な価値観の歪み、女性観や男性観が複雑に入り組んで、みんなでなんとなく知りながら黙殺し、暗に被害者を黙らせてきた積み重ねなのである。