「呪いのストーリー」をイメージする

これにはもう本当に腹が立ちます。自分より身体的に弱い立場の小柄な女性にわざとぶつかってストレスを発散しているのでしょうか? その人にとってはストレスコーピングでも、こちらにとっては完全に暴力です。本当なら捕まえて警察に突き出して暴力事件として処理してもらいたい案件です。しかしそれも難しい。本人がすでにいなくなっちゃっているので。

伊藤絵美『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』(晶文社)

そこで、こういうときは、イメージワークをすることにしています。身体をぶつけたおじさんをぶん殴るイメージとか、背後から飛び蹴りをするイメージとか、現行犯逮捕されて面倒なことになるイメージとか、そういう単純なイメージをすることもありますが、私はもっと念入りに、その人が今後、次から次へと不幸な目に遭って(例:野生の猿に襲われる、落とし穴にハマる、携帯や財布を落として2度と見つからない、雷に打たれる)、最終的には死んだら地獄に落ちて、死んでからもずっと不幸が続くといった「呪いのストーリー」をイメージするのです。

「何と人が悪い」と眉をひそめる人もおられるかもしれませんが、一方的にやられた側としては、このぐらいのイメージを作ってようやく怒りが若干治まる程度です。

こんなふうにイメージを伴うストーリーを作ることで、思い直しすることができるのです。もちろんこういう呪いのストーリーだけでなく、自分がハッピーになるストーリーをイメージするのでも全く構いません。コツはとにかく本気でリアルにイメージすることです。

以上、認知再構成法の思い直しについて、私自身が重宝している3つのやり方をご紹介しましたが、重要なのは自動思考に気づきを向け、それに巻き込まれず、マインドフルに受け止め、そのうえで、対話をするなりセルフ・コンパッションをするなりイメージをするなりすることです。自動思考に気づくことが重要な第一歩なんだ、ということを忘れないようにしてください。

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