4人に1人がローンを抱えて社会に出る

高等教育への公的負担の少なさは、日本の大学教育に大きな影響を与えている。すなわち近年、授業料が高騰しているのだ。

国立大学の授業料は、1975年には年間3万6000円だった。しかし、1989年には33万9600円となり、2005年からは53万5800円にまで高騰している。

50年間で、15倍に膨れ上がったのだ。バブル期と比較しても、現在は約2倍である。

この授業料の高騰のため、大学に行けない若者が激増している。

また大学に行くために、多額の借金をする若者も増えている。現在、70万人近くの大学生が「有利子の奨学金」を受けて学校に通っている。この「有利子の奨学金」というのは、奨学金とは名ばかりで、実際はローンと変わらない。厳しい返済の義務があり、もし返済を怠れば、法的措置さえ講じられる。

この「有利子の奨学金」を受けている70万人近くという数字は、大学生全体の約4分の1である。彼らは大学卒業時には、数百万円の借金を抱えていることになる。

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金持ちの子しか大学には行けない

日本では大学の授業料が高額なうえ、進学するためには、学校のほかに塾などに行かなくては難しい。既存の学校があまり充実していないからだ。

となると、裕福な家庭の子弟しか、いい大学に入れないことになる。それは実際にデータとしても表れている。

東京大学が行っている「学生生活実態調査」によると、2021年の東大生の親の70%以上が、年収750万円以上、50%以上は年収が950万円以上なのである。

親にそれだけの高収入がないと、いい大学には入れないということである。

東京大学は言うまでもなく、高級官僚のシェア率が断トツに高く、一流企業に就職できる確率も非常に高い。ざっくり言えば、将来、国家の中枢を担う可能性が高い学生たちである。東大生になるには、金持ちの家に生まれないと難しくなっているのだ。