なぜ日本はここまで子育てがしづらい国になってしまったのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「若者の投票率が低いことが一因だ。投票率が低いと、政治家は有権者全体のことよりも、業界団体や宗教団体のほうを向いた政治を行うようになる。そういう政治が行き着いた先が、いまの日本だといえる」という――。

※本稿は、大村大次郎『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

積み上げて置かれたコインの上にフェルトでつくられた角帽がのっている
写真=iStock.com/Khongtham
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韓国より低い大学進学率

教育というのは、国の根幹である。

教育が行き届いている国、教育が進んでいる国のほうが、産業は栄えているし、国力は充実している。それは古今東西の国々の状況を見れば明らかである。

特に高等教育というのは、国の行く末を左右するとも言える。

国民が充実した高等教育を受けられているかどうかが、その国の未来を表しているのだ。

その高等教育の充実度をはかる基本的な指標、「大学進学率」を見てみたい。

大学進学率において、日本はOECDの調査対象30カ国の中で21位で48%である(図表1)。これはOECDの平均よりも約10ポイントも低く、隣国の韓国よりも低い。日本人は、いろんな面において「韓国よりは上だ」考えているようだが、国の根幹である教育分野においても、日本は韓国に劣り始めているのだ。

【図表】大学進学率(OECD30カ国)
出所=『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)

このデータにはフランス、アメリカが含まれていないが、両国とも大学進学率は60%を超えており、日本よりは高い。またドイツは日本より低くなっているが、それは伝統的に大学と同等の専門学校が多いためである。統計によっては、この専門学校も大学に含まれることがあり、ユネスコの統計ではドイツの大学進学率のほうが日本より高くなっている。

しかも正確な比較はできないが、日本は中国からも抜かれていると推測されている。

日本は急速に少子高齢化が進んでおり、子どもは少なくなっているのだ。にもかかわらず、その少ないはずの子どもたちにまともに教育を受けさせることさえしていないのだ。