ゴミ問題は「渋谷のハロウィン」が参考になる

最後のゴミの問題は、残念ですがなくすことはできないでしょう。花火大会を行うと自治体が決めた時点で、マナーだけではなくせないゴミの問題が必ずついてくると覚悟すべきです。マナーを守れない人はどの社会、どの都市にも一定数いるうえに、花火大会の夜にはそこに割れ窓現象が起きて、普段ゴミを捨てない人までが道端にゴミを残していくのです。

有料のイベントなら、ゴミ箱を増やしたり清掃するスタッフを増やしたりもできるのですが、無料ということであればここは地元で解決する以外にありません。

ただこの点では渋谷のハロウィンの翌朝のムーブメントが参考になるのではないかと思います。渋谷ではハロウィンの夜に大騒ぎをする若者の中から、翌朝に率先してゴミを片付けるボランティアを組成する動きができています。楽しむのも自分たちであり、その後の街をきれいにするのも自分たちがやるんだという精神です。

写真=iStock.com/yongyuan
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仮に花火大会の祭りが夜通し続けられるのであれば、早朝にツーリストも一緒に片づけを手伝えるかもしれません。朝早くから地元の人たちと交流しながらごみを集めることが旅の思い出になればそれはよりよい解決策ともなるでしょう。

花火大会はオーバーツーリズムの「ワンナイトバージョン」

話をまとめます。夏の花火は日本人にとって心を癒やす夏の風物詩です。日常の疲れやしがらみを忘れて一時、夏の夜空を彩るアートを心の底から楽しめる大切なイベントです。それに対して人が集まるなというのは無理というものです。真夏の夜にはこれからもオーバーツーリズムが発生するのです。

ですから、できうる限り群衆雪崩が起きないように人波をコントロールするとともに、参加者はルールを守る責任を最低限の約束として忘れないことが大切です。熱中症の問題は啓発で減らし、ゴミの問題はボランティアで参加者の側から解決を模索していくべきでしょう。

この問題、全国の観光地を悩ますオーバーツーリズムの「ワンナイトバージョン」というべき現象です。その問題とうまくつきあっていくことが、イベントをこの先も毎年続けていくための条件になるのです。

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