プレゼンが上手な人の「成功パターン」

また、プレゼンにおいても、実は「質問力」がとても重要です

プレゼンを成功させるには定石があります。

それは、あなたの提案が、相手が期待する価値を上回ることです。期待する価値とは、内容、金額、効能、すべてひっくるめたものです。

過去の私は、「この商品はすばらしいです!」「絶対この仕組みを社内に取り入れるべきです!」と、本気で伝えれば、提案は必ず通ると勘違いしていました。まさに気合と根性で押し切るプレゼンです。自分が話したいことの延長線上に相手のYESはありません。

私は何千回とプレゼンを行い失敗してきましたが、「自分が話したいことにウエイトを置くとプレゼンは確実に破綻する」、これが最大の気づきでした。

プレゼンで成功する人は、成功するパターンを持っています。

ステップ① :相手の「期待」を確認する
ステップ② :それを上回る「提案」をする
ステップ③ :①と②を「比較検討」してもらう

流れは簡単ですが、実現しようと思うとなかなか難しいものです。特に②です。

「相手の期待を上回る提案なんて難しい……」、私も最初はそう考えていました。

でも、ここがプレゼンのミソです。多くの人は②に注力しますが、本物のプレゼンターは①「相手の期待を確認する」に9割の力を注ぎます。

「相手の期待の確認」で成否は9割決まる

お医者さんの例が、わかりやすいかもしれません。

例えば、あなたがずっと胃の調子が悪かったとします。ときどき、みぞおちのあたりに激痛が走ります。「何かの重い病気では……」と心配になり、お医者さんに診てもらいました。

その診察が「はい、わかりました。じゃ、胃薬出しておきますね」と1分で終わったら、何も話を聞いてもらえないと感じ、すごく不安になるのではないでしょうか。

でも、5分だけでも詳しく症状を聞いてもらえたらどうでしょう。それだけで心がフッと軽くなると思いませんか。

別に心を軽くしてもらうためにお医者さんへ行ったわけではないのですが、「診察してもらい、適切に処方してもらい、話まで聞いてもらい、心配が減少した」、これが相手の期待を上回るということです。

話を聞く時間が1分でも5分でも、提案する薬はいっしょなのに、です。

話を聞いてもらうだけで心が安らぐ。これを心理学では、カタルシス(浄化)効果と言います。

話を聞いてもらえれば、自分がモヤモヤしていることを言語化して伝えようとします。そうすることで、自分の期待がより明確になります。

これは、ステップ①の「期待を確認する」を深いレベルで相手が行ってくれたからです。

そしてその相手は、「期待をいっしょに叶えましょう」と励ましてくれるわけです。勇気が湧いて当然です。

桐生稔『話し方すべて』(かんき出版)

プレゼンの成否は、この時点ですでに決まっていることが多いです。

結婚式の会場を決める際、ウエディングプランナーの方がものすごく真剣に話を聞いてくれたので、結局予算はオーバーしたけれど、大変満足のいく結婚式になった、なんて話をよく聞きます。高級な料亭で、いろいろ希望を聞いてもらい、オススメを提案してくれたので、いつもよりかなり高額だったけど、楽しい時間を過ごせたということも。

期待の確認を全力で行う。そして、共通の認識にたどり着く。本来それをなくして提案してはいけないのです。

何かを提案するということは、困っている人を助けるということです。「真に困っていることは何か?」「本当はどうなりたいと思っているか?」、相手の期待を明確にするのがプレゼンの不文律です。

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