平気で嘘をつく、人を騙す人が生き残る政治の世界
平気で嘘をついたり、人を騙したりする人々が平然と生きている政治の世界に愕然として、僕は1期6年だけで政界を引退することにしました。結局のところ、政治家になってやりたいと思っていたことの、100分の1も実現することはできませんでした。
その一方で、永田町の既成政党は、大企業のそれとよく似ているとも思いました。
大企業では、上に行きたいと思ったら、上に好かれるように腰を低くして、自分の言いたいことは絶対口にしないのが鉄則です。そういう人が、最終的には本当に上がっていくのです。
反対に、会社の未来のためにはこの改革が必要だとか、新しいチャレンジをすべきだとか言っている人は、めんどくさがられて出世ルートから外されてしまう。
実際、僕の銀行員時代も、正しいことを言う人、上に意見する人、こんな人にぜひ頭取になってほしいと思うような人たちは、みんな早々に潰されてしまいました。そして、長老たちが引退した後に、ひたすら腰を低くして上の言うことを聞いてきた人たちが経営陣に入っていくのを目の当たりにしました。
日本の大企業が力を失った原因は「人事」にある
僕は、日本の大企業が力を失ってしまった原因は、究極的にはこうした人事にあると思っています。東芝だって、長老たちの言うことを聞いて粉飾決算を繰り返してきたわけでしょう?
そして、日本の政治の中心にある既成政党もまったく同じなのです。
日本のためにやらなければならないことを直言している人は潰されて、既得権益を守る人がポジションを上げていく。僕は、永田町では人心掌握がまったくできませんでしたが、永田町の人事は、大企業で出世したいと思っているサラリーマンにとって、いいお手本になるのではないでしょうか(笑)。
政治の世界は人事に限らず、「なんでこんなに非効率なことをやっているのか」と驚くようなことが山ほどある、起業家にとってとてもやりにくい世界でした。
起業家は「こんなことをしたら会社が潰れる」と思ったら、即座にやめる判断を下します。ところが政治の世界では、たとえ「こんなことをしたら日本が潰れる」と誰もが思っていることであっても、利権が絡んでやめることができないのです。