資金が流入しているか流出しているかを把握する方法

資金が流入しているのか、それとも流出しているのかを把握するのに、純資産総額の増減は役に立ちません。

前述したように、純資産総額は投資信託に組み入れられている株式や債券などの時価総額なので、仮に資金が流出していたとしても、組み入れている株価が大きく値上がりすれば、その値上がり益によって純資産総額が増えるケースもあるのです。

逆に、順調に資金流入していたとしても、組み入れている株式などが大きく値下がりすれば、純資産総額は減少します。

このように、純資産総額の増減は、資金の流出入と組入資産の値動きとの合計になるため、純資産総額の増減だけをもって資金の流出入を判断することはできないのです。

では、どうすればいいのでしょうか?

方法は2つあります。

ひとつはウエルスアドバイザー(元モーニングスター)のウェブサイトにあるデータを活用することです。ウエルスアドバイザーのサイトにアクセスし、投資信託のタブをクリックすると、ファンド名を打ち込むスペースが出てきます。そこに任意の投資信託の名称を打ち込んで検索すると、その投資信託の各種データを見ることができます。そのなかに、「リターン」というタブがあるので、それをクリックし、さらに「月次資金流出入額」というタブをクリックすると、過去4年程度の資金流出入状況がグラフで表示されます。これを見れば一目瞭然です。

もうひとつの方法は、少々面倒ではあるのですが、自分で計算することです。それほど難しい計算式ではないので、安心してください。

必要な情報は「純資産総額」と「基準価額」の時系列データです。これはホームページにデータを掲載している投資信託会社もありますし、なかったらYahoo!ファイナンスのホームページからもデータをとることができます。

写真=iStock.com/Xesai
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資金が流出しているかどうかを計算で出す方法

投資信託の基準価額は、「受益権1口あたりの純資産総額」です。したがって、1口あたりの基準価額で純資産総額を割れば、受益権口数が求められます。

たとえば、

・純資産総額……100億円
・1万口あたり基準価額……1万5000円

だとしましょう。すると、1口あたり基準価額は、

1万5000円÷1万口=1.5円

です。次に純資産総額を、今計算した1口あたり基準価額で割ります。

100億円÷1.5円/口=66億6666万6666口

これが、この投資信託の受益権口数になります。

これを週次、あるいは月次くらいの頻度で、できるだけ長期間の計算を行います。すると、受益権口数が継続的に減っているのか、それとも増えているのかが分かります。

これら2つの方法のどちらかで資金の純流出入を把握し、資金流出が長期化している投資信託は買わないほうが無難です。