4.コストが割高な投資信託
投資信託には「購入時手数料」と「信託報酬」という2大コストがあります。
購入時手数料は、購入金額に対して定率の手数料を、販売金融機関に対して支払うものです。たとえば購入金額が100万円で、購入時手数料率が2%だとしたら、2万円が販売金融機関に対して支払う購入時手数料になります。
ただ、最近の傾向としては購入時手数料を取らない投資信託が増えているのも事実です。つみたてNISAの対象となる投資信託は、スクリーニング条件のなかに「購入時手数料を取らない」ということが盛り込まれているため、その後を引き継ぐ新NISAのつみたて投資枠でも、それは踏襲されると考えられます。
また、インターネット証券会社では、基本的に購入時手数料を取らない投資信託のラインナップを大きく増やしているので、対面営業型の販売金融機関でない限り、今は多くの投資信託が購入時手数料を取らないと考えてもよさそうです。
いささかややこしいのが信託報酬です。
信託報酬の料率は、低いものだと年0.1%程度、高いものだと年3.0%程度です。年0.1%と年3.0%とでは、ものすごい差になります。当然、投資信託を保有している受益者としては、低いに越したことはありません。
信託報酬率は低ければいいというものでもない
ただ、信託報酬率は低ければ低いほどいいのかというと、いささか厄介な問題をはらんでいます。というのも、投資信託会社にとっては信託報酬が唯一の収入源なので、これが大幅に低率になった時、投資信託会社の経営が成り立つのか、という現実に直面してしまうからです。
もちろん、たくさんの投資信託を設定・運用していて、かつ年金なども運用しているような、規模の大きな投資信託会社であれば、極めて信託報酬率の低い投資信託を運用しても、会社全体の収益はバランスされると思います。しかし、それでは高い信託報酬の投資信託を購入している受益者の犠牲のもとに、信託報酬率の低い投資信託を購入している受益者に便宜を図っているのと同じです。
このように考えると、信託報酬率は一概に低ければいいというものではないことに気付かれると思います。この点については明確な答えを出すのが非常に難しいのですが、ひとついえるとしたら、納得感のある信託報酬率の投資信託を選ぶしかない、ということでしょうか。
『50歳からの新NISA活用法』では「新NISAでの購入に適さない投資信託」の特徴をこのほかに6つ紹介しています。