角瓶も山崎も響も…サントリーウイスキーの品薄続く

学校の友達と夕食を兼ねてここを訪れた女子大生のキム・アジョンさん(21歳)によると、大学生の間でもハイボールが断然人気のお酒だという。

「学校の団体合宿でも打ち上げで飲むのはハイボール。全国どこへ行ってもコンビニでウイスキーや、氷、炭酸水などの材料が手に入ります。家や旅先でも自分で簡単に作って飲める楽しさも魅力です。ビールやワインと違って、飲んでも太らないといいますしね」

タボクダンでは日本酒やアサヒ生ビールをはじめ、日本産の酒をドリンクメニューのメインとして扱っている。その中で最も人気があるのはやはりハイボールだ。1杯9000ウォン(約1000円)で、店員によると平日は一晩で70杯余り、週末だと100杯以上も注文が入るという。

筆者撮影
タボグダン店内に設置されたハイボールサーバー

ただ、最近は日本産ウイスキーの品薄現象で材料調達が困難になっているそうだ。

「当店の代表メニューは『角ハイボール』ですが、もう数週間もサントリーウイスキーが入ってきません。角瓶だけでなく、響や山崎なども手に入らなくなっています。ウイスキーだけはイギリス産かアメリカ産を扱うしかない状況なんです」

日本で購入してくる「転売ヤー」も出現

京畿道で日本産酒類の輸入商を営んでいるキム・ジュンファンさんによると、この状況は1年以上続いているという。

「ノージャパンの頃は、スーパーやコンビニなどで日本産酒類を売り場から撤退させたり、注文もできない状態になっていたりして非常に厳しい状況が続きましたが、最近は人気がよみがえっています。なかでもウイスキーは供給が需要に追いついていない。角瓶が特に品薄で、御勅使(サン.フーズ)、あかし(江井ヶ嶋酒造)などの代替品を見つけるのにも苦心しています。日本産ウイスキーに韓国ウイスキーを抱き合わせで買わせる商法も幅を利かせているようです」

結果として、サントリーウイスキーの韓国内での販売価格は急騰している。角瓶は日本では1910円(希望小売価格/700ml)で販売されているが、韓国のスーパーで購入する場合は3万ウォン(約3000円)台だ。日本で1万円(同)で販売される山崎12年は30万ウォン(約3万円)程度。

それでも手に入らないため、日本まで行って購入して再販売する「リセール族」も登場した。日本でいうところの「転売ヤー」だ。韓国メディアによると、リセ一ル族が買ってきたウイスキーは闇の経路を通じて、山崎12年が40万ウォン(約4万円)、響17年が100万ウォン(約10万円)台で取引されているという。ウイスキーの転売で金を稼ぐことを意味する「酒テク」という新造語も登場したほどだ。