先ほど、脂肪肝は自覚症状がなく、健診でも見つかりにくく、治療法も治療薬もまだない厄介な病気だと述べました。だから、脂肪肝にならないこと、なってしまっても軽症のうちに改善させることが大切です。
ですが、専門医としては、すべての脂肪肝の人に「肝臓専門医に来てください」とはなかなか言えません。あまりにも数が多く、とても対応しきれないからです。それほど脂肪肝の人は多いのです。
現場で多くの患者さんに向き合っている専門の医師は、だからこそ「まずは自分で予防してほしい」「軽いうちは自分の力で改善してほしい」と願っているのです。
脂肪肝になる前に、あなた自身が予防する必要があります。体型や日頃の生活をかえりみて、「脂肪肝かもしれない」と思い当たるふしがあったら、早急に生活を改善してください。
予防と改善には「12時間肝臓ダイエット」がいい
自分が脂肪肝になっているかもしれないと思う人には予防策として、すでに脂肪肝と診断された人には改善策として、おすすめなのが「12時間肝臓ダイエット」です。
「12時間肝臓ダイエット」のルールはとてもシンプル。
・12時間、何も食べない
・週1日だけでもいい
・お腹がすいたら大豆を食べるといい
守るのは、これだけです。
断食する12時間以外は、何をどれだけ食べても、お酒を飲んでも構いません。また、12時間には睡眠時間も含まれます。たとえば、いつも6時に朝食を食べるなら、夕方6時までに夕食を終える。あるいは、夜はいつもどおり食べて、朝食を抜く。
12時間の断食中、水分の摂取は自由です。ただし、水やお茶などゼロカロリーのものが理想です。我慢できなければ、慣れるまで人工甘味料使用のドリンクも可です。
空腹が気になるときは、「お助けフード」として少量の大豆がおすすめです。節分の豆まきで使うような、煎っただけの味付けしていないものが理想です。大豆は腹持ちがよく、煎り大豆なら、よく噛むことで空腹感も紛れるでしょう。そして、大豆に含まれる植物性タンパク質が筋肉の維持を助けます。
さて、ここまで読んで「そんなにゆるくていいのか!?」と思ったかもしれませんが、だからいいのです。
どんな健康法、ダイエット法も「継続」しなければ効果は出ません。むしろ「継続しよう」という意識も消えて、「新しい習慣」として無意識に定着できてこそ、最強の健康法といえます。
脂肪肝になる前に最低週1回の「12時間肝臓ダイエット」で予防しましょう。脂肪肝だと診断されたら「12時間肝臓ダイエット」の日を増やすなどして、改善の努力をしてください。