大陸からの渡来人が日本にもたらしたもの
【田中】そして、日本だけが西洋に侵略されなかった。これは極めて大事なことですが、ある意味でそれは、日本に《秦氏》がいたからともいえるのです。彼らが戦いの知恵をもたらした。
【茂木】戦乱の大陸から渡来した秦氏が、古代日本国家の中枢に受け入れられていますね。敵を味方に取り込んだ……ともいえると。
【田中】秦氏たちも日本を自分たちのものにしようという気は起こさなかったし、「こんなに良い国なのだから守ろう」という方向に自然と進んだのです。
【茂木】免疫のない人は簡単にウイルスにやられてしまいますよね。一度感染して自然免疫ができると強くなります。マヤ、アンデス文明の人々は日本人と同じモンゴロイド(※)です。
16世紀にスペイン人がもたらしたウイルスで大勢の人が亡くなりました。しかし日本には定期的に大陸系の遺伝子が少しずつ入ってきていたので、免疫力を強化していったことで生き残ったといえるのです(茂木誠『感染症の文明史』KADOKAWA)。
天皇家が126代も続いている理由
【田中】まさにそうです。少しずつ入ってきたことによって大事に到らない。島国の特徴です。純血だけでは強くならない。
【茂木】実にいい感じで入ってきています。古代日本は、実は移民の国ともいえますね。
【田中】一気に入ってくる敵がいなかった。天皇が126代も続いている理由はそのあたりにあるのではないでしょうか。
※モンゴロイド:形質人類学上の人種の区分。ネグロイド(アフリカの黒人)、コーカソイド(白人、中東・北インドの諸民族)と並ぶ三大人種の一つ。東アジア、東南アジアの諸民族、アメリカ先住民までを含む。「東洋人」「黄色人種」とほぼ同義。