しっかりしなさい! は逆効果
過敏性腸症候群を治すためには、薬による治療と並行して、やはり三食をきちんととり、自律神経を整えるためにしっかり眠るといった基本的な生活習慣も重要。便秘型の人は食物繊維をしっかりとり、下痢型の人は冷たいものや刺激物を避けたほうがよい。
「親の過干渉や心配しすぎは逆効果。『気が弱いからすぐにおなかが痛くなるのよ。しっかりしなさい』などという根性論も捨てましょう。心配だとは思いますが、『そのうち治るから大丈夫だよ』と声をかけ、受験生ならときどき思い切り好きなことをやらせる日をつくるなど、メリハリをつけるようにしてください」(皆川氏)
トイレが気になって、そのせいで緊張が高まってしまう場合もある。受験の時期が近づいたら、下見をしてトイレの位置を確かめておくと安心だ。スポーツのプレッシャーに弱い子も、試合会場ではまずトイレの位置を確認する習慣をつけさせるなど、病気と上手につきあっていくことも大事だ。
また、自宅では布団の上に横になり、思い切り手足に力を入れてからパッと全身の力を抜くリラックス法も有効。専門家に自律訓練法の指導を受けることも役立つという。「両手両足が重たい」「心臓が静かに規則正しく打っている」「おなかが温かい」などと自己暗示をかけ、自律神経の切り替えがうまくできるようにする方法だ。
「過敏性腸症候群で下痢や便秘がひどかったお子さんでも、受験期などつらい時期を乗り切れば症状も治っていきます」と皆川氏は話す。
あまり深刻に考えず、親子でリラックスする方法を見つけたい。