静岡以外の県が川勝知事に強く出れないワケ

川勝知事の「山梨県内の調査ボーリングをやめろ」に対して、山梨県の長崎幸太郎知事は「静岡県の懸念について各県で意見交換する場」を提案した。

筆者撮影
期成同盟会で静岡県の懸念について協議の場を設けるよう提案する長崎幸太郎・山梨県知事(東京都内)

期成同盟会後の自民党リニア特別委員会で、長崎知事は「川勝知事のご懸念はわかるが、企業の正当な活動を行政が恣意しい的に止めることはできない。調査ボーリングは作業員の命を守り、科学的事実を把握するために不可欠だ」などと山梨県の立場を尊重するよう求めた。

たったこれだけである。

静岡以外の県はJR東海から「中間駅」という地域振興策を勝ち取っている手前、何らかの地域振興策を得たいとする川勝知事のもくろみを否定できないのではないか。

川勝知事は「懸念を持っている。撤回しない」とこれまでの主張を譲らなかった。

どこかひとごとのJR東海の対応

総会後に行われた自民党のリニア特別委員会で、地元の井林辰憲氏(衆院静岡2区)が「JR東海が地元に寄り添っていればここまで政治的な問題にならなかった」と苦言を呈した。他の県内選出議員も同様の意見を述べていた。

プレジデント』(2022年3月18日号)で、政治評論家の飯島勲氏はこの問題の解決策について、『静岡工区内に観光用の「駅」の建設を提案したい。リニアが停車するものではなく、観光施設のようなもの』などと述べた。

このような施設は物理的に全く不可能だが、飯島氏は、問題解決のためには、JR東海が率先して何らかの対応をすべきと提案したのだ。

川勝知事は期成同盟会加入に当たって、

1.現行ルートでの整備を前提に進める
2.東京―名古屋間の2027年開業を目指す

という立場を共有するとした。しかし、川勝知事の言動を見れば、それが真っ赤なうそであることははっきりとわかる。

今回の総会を通じて、当事者であるJR東海は、国家的プロジェクトと言っていれば、誰かが解決してくれると思っており、だからこの4年間、静岡県に対し何もしてこなかったのではないか、と筆者には見えた。

何はともあれ、このままでは川勝知事をどうにも止められない。

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