塾生のモチベーションを上げるおとぎ話

彼らを勇気づけるための効果的な方法の一つとして、リッキーとボルの話を紹介しましょう。私はリッキーとボルと名付けた2人の漫画のキャラクターを使ったストーリー(寓話)を作り、彼らに読み聞かせています。

リッキーは裕福で英語を話す上品で都会的な少年で、教科書もPCもオートバイも何でも持っています。彼は、ピザやハンバーガー、ホットドッグなどをいつでも自由に買って食べることができ、オーダーメードの服を着ています。

一方、ボルは伝統的で安価なダル(豆カレー)やロティ(パン)、野菜しか食べられない典型的な田舎の貧困家庭の子供で、薄汚れた服を着てゴムスリッパを履いています。英語はおろか地方の方言しか話せず、おんぼろ自転車に乗っているのです。

しかし、リッキーは授業で出された問題を教科書で習った方法で解くのにも苦労しているのに対し、ボルは、同じ問題をいくつもの異なる方法で簡単に解くことができるのです。なぜなら、ボルは常に勉強に没頭し、かつ自分の頭で広く深く考え抜いていたからなのです。

この勝負の勝者は明らかにボルなのです。私は生徒たちに彼ら自身の能力を信じさせるために、このキャラクターとストーリーを創作しました。生徒は私のストーリーに共感し、確実に成果が生まれています。

写真=アナンド・クマールさん提供
生徒を指導するアナンド・クマールさん

試験の本番は「101回目の模擬テスト」

――他の進学塾とは異なるSuper 30の特徴的な教育指導方法はありますか。

私の教え方は、問題を解くための基本的な考え方やコンセプトをストーリー化して示すのです。そうすることで生徒の理解が飛躍的に向上します。次に重要なことは、ただ単に公式や解法を教えるのではなく、出された問題の背景、理由などを考えさせるのです。単なる知識ではなく、WhyやHowがとても重要なのです。

むろん、受験の知識も必要なので、定期的にIITの試験問題に似た内容でテストを頻繁に実施しています。受験の3カ月前からは隔日でテストを実施し、IITのテスト問題に慣れさせます。つまり、1年で最低でも100回の模擬テストを実施しているのです。そうすると、実際にIIT入試を受験するのは、彼らにとっては、単に101回目のテストを受けるだけのことになるです。受験の訓練を何度も繰り返し、慣れることが効果的なのです。“Practice makes perfect”なのです。

さらに私は、欧米、日本、ロシア、韓国など、世界各国の大学受験参考書を入手し、その傾向と対策を研究し、あらゆる問題に対応できるように準備しています。